富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

M Chadwick君の国際G1初勝利California Memory

fookpaktsuen2011-12-11

農暦十一月十七日。極寒。アタシの知る限り最も寒い香港国際レース開催日。厚着して昼に沙田競馬場。マイルをエイシンプレストン、ヴァースをステイゴールド香港カップアグネスデジタルと日本馬が三勝してみせた2001年から早十年。それでも同じ面子の知己が来港してかうして競馬観戦。香港ヴァースはメルボルンカップ優勝のDunadenが強さみせる。アタシはこのヴァースだけは日本馬と思つてゐたトレイルブレイザー(池江厩舎、安藤勝己騎手)が6着。香港スプリントは十月に日本に遠征でスプリンターズステークス5着の香港馬ラッキーナインが優勝。アタシの応援したEntrapment(サイズ厩舎、ホワイト騎手)は二着。第6レースのクラス3で単勝一点買ひ(Viva Freedom)でだうにか前半の負け取り戻し。香港で重賞といへばムーア調教師で今日の国際G1の4レースでは香港マイルこそ、と思ひムーア師で一番人気のExtension(軍事攻略)を避けるといふ見事な判断?でDestined For Gloryの勝利を願つたが「あっと驚き」で同じムーア調教師の9歳馬Able Oneが優勝。「昨年の」マイルの予選で優勝したが故障で昨年のこのレース逃し勝ち無しで今日の勝利。単勝67倍。あまりの番狂はせ。で香港カップ。まるで地場のクラス1のやうな地味なラインナップ。そのなかで今年のダービー馬でQE II Cup優勝のAmbitious Dragonが一番人気だがアタシはQE Ii CupでAmbitious Dragonに負け二着、シンガポール国際は一番人気ながら昨日の日剰に綴つた通りChadwick騎手の騎乗の拙さで負けたカリフォルニアメモリーに三度目の正直で応援馬券。かなり強気の単勝一点買ひ。これが見事優勝。Chadwick騎手の国際G1初勝利に思はずアタシも涙腺が緩む。あとで気がついたが1989年に前身のHK Invitation Cup(前年に創設)でT Cruz騎手がColonial Chiefで勝って以来、実に22年ぶり。国際重賞になつてからは勿論、地場騎手の勝利は初。しかもそのT Cruzが今回勝利のCalifornia Memoryの調教師でChadwick騎手の師匠なのだから何ともも。あとでプレスの写真(右)で見たらChadwick君のゴーグル越しの目に涙。そりゃさうであらう。残り2レースあつたがお祝ひ、お祝ひとハロンS氏のホテル(ハイアット沙田)にシャトルバスで向かひチンチンバーでカリフォルニアメモリー勝利で知己に三鞭酒のお振る舞ひのつもりがバー貸し切りで同じホテルの最上階、クラブフロアのスイートにお泊まりの長野T氏の部屋で三鞭酒。沙田のCitysuperでワイン七本購ひ龍華酒店。総勢十二人で宴会。北京O氏の来港のかなり複雑な鉄道ルートに驚く。広州〜北京の鉄道料金の方が香港〜北京より高いと聞く(正確には香港線が割安のまゝなのだ)。龍華酒店は老舗病といふかいろ/\な意味でサービスなど問題少なからず。もはや「終はつてしまつた」と言つていゝだらう。無礼、無作法、無愛想の三悪で申し訳ないが「萬千不来!」である。雲一つなき夜空に輝く見事な十六夜の月に惚れ/\。
朝日新聞読書欄で「開戦の日」といふ記事あり(神野俊史)。高村光太郎のあの「記憶せよ、十二月八日。この日世界の歴史あらたまる」紹介したあと荷風散人の日剰。そこで「開戦の高揚などどこ吹く風」で日剰の記述は「実に恬淡としたもの」とする。だが、だうなんでせう。荷風散人は開戦の高揚が「どこ吹く風」だつたのか。開戦に「欲が無く、物事に執着しない」恬淡だつたのか。あたしにはそれは大変な事態に敢へて距離を置こうとした散人らしい立ち位置で、けして「どこ吹く風」で恬淡だつた、とは思へない。