富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

亀が猿、中車の照之は香川なら屋号は「讃岐屋」か。

fookpaktsuen2011-09-27

陰暦九月朔日。晴。亀治郎猿之助襲名、香川照之市川中車?……たしかに中車は八代目(1896〜1971)の実父が初代猿之助なのだから香川君の中車襲名も解らないでもないが、亀が叔父の猿之助の名を襲ふなら照之は亀父の名、段四郎でもいゝはず。お若い方はご存知なかろうが九代目(団十郎)の婿養子で銀行員から役者になつた三升(十世団十郎)みたいな例もあり。それにしても役者とはいへ歌舞伎の修業も積んでをらず「遠山の金さん」なり錦之助ちゃんのやうな路線ならまだ解るのだが。お若い方はご存知なかろうが九代目(団十郎)の婿養子で銀行員から役者になつた三升(十世団十郎)みたいな例もあり。水戸の畏友J君が笹野高史平成中村座で「淡路屋」名乗るのだから向こうをはって香川は四国で「讃岐屋」と(笑)。香川照之に続き寺島しのぶも歌舞伎界へ、なんてデマもあり。先週罹つたGastro-enteritisはだいぶ治まつてゐたが台湾に遊ぶあひだも咳をすると止まず龍角散と喉飴にずつと頼つてゐたが咳と昨夕から頭痛がひどく亦たC医師の診断を請ふ。喉痛ばかりか頭痛ぢゃ抗生物質で治しますかね、とC医師。帰宅すると突然、Stranger Than Paradiseの音楽、John Lurieたちのが無性に聴きたくなつた。でiTunesですぐに購入して聴く。母と電話で四方山話ならぬ澤瀉話。晩にRTHK Ch-4でBBC Promsを聴く。もうだいぶ前からラジオで始まつてゐたのに今年のPromsは聴くのはこれが初めて。しかも朗郎のリストのピアノ協奏曲1番である。なんか聴くまえからどんなリストになるか想像できてしまふ。嗚呼。そしてショパンの華麗なる大ポロネーズ。好き嫌いかは別として華麗すぎる大々々ポロネーズとなつてゐた。ところで二週間前(九月十二日)の日剰で

走るには夕食まで中途半端な時間となりヤナーチェクシンフォニエッタアバドと伯林)聴き乍らいつもより濃いめのドライマティーニ

と書いたが敢へて「断つて」をきたいが「アタシはハルキムラカミの1Q84を読んでゐません」から。アタシの好きな曲の一つだがハルキムラカミさんが流行小説のなかでこの曲をモチーフにしてゐて今日日、ヤナーチェクのこの曲が評判なんだとか。昨日の朝日新聞文化欄でハルキムラカミ特集あり、そこでハルキムラカミのヤナーチェク好きを知る。それを知らず、にせよ何だか恥ずかしい気分。朝日ジャーナルの緊急増刊「原発と人間」五月末に発売の号を今ころになつて読み始める。巻頭の池澤夏樹氏の「落胆して泣いて……良き貧しき国の再生を」が沁みる。三一一の前なら「青いなぁ」「書生論」と一蹴されたであらう……が今では小泉三世ですら「原発建設の費用を自然エネルギーの開発に使い、原発依存度を下げるべき」だの「高レベル放射性廃棄物の処分に膨大な費用と数万年単位の時間がかかる」と宣つてゐる由(昨日の朝日「声」欄の投書より)。原発推進してきた元首相の言としては赦し難いが、世の中、理想論で語ることが許されるやうになつたやうだ。抗生物質服してゐるので今晩は酒を抜く。でアタマがどうも明晰なのでさつさと今日の日記書いてしまふ。酒も美味いが咳止めシロップのメロー感は、これがまた堪りません。
▼昨日の新聞(朝日)読んでゐたら文化欄に「帝劇100年」といふ記事あり。先づ引用。
日本が近代化を急いだ明治期、帝劇建設は渋沢栄一ら財界人を中心に進められてた。(略)1911(明治44)年3月、帝劇開場。1700の座席は椅子。鉄道経営のノウハウを応用して開演時間を明示し……
と。唐突に「鉄道経営」といふ言葉が出てくる。誰が鉄道を経営して、そのノウハウを帝劇の切符販売に活かしたの?と記事では疑問。具体的に名前が出てくるのは澁澤翁で確かにこの人が日本鉄道(現在のJR東日本)の設立にも参画したのは事実。だが帝劇といへば阪急と宝塚の小林一三であつて、その人の名前も出さずに帝劇100年を語り「鉄道経営のノウハウ」は無しだらう。一三を出さぬならせめて「当時、合理的だつた鉄道の切符販売のノウハウを真似て」くらゐの表現にすべき。記者が書いたにせよ机さん(デスク)は出稿前に記事を読んでゐるのかしら。今日の朝日にその「帝劇100年」の続き記事あり。こちらで気になつたのは帝劇のジャニーズ興行に関する記述で堂本、亀梨、滝沢らの「全ての作・構成・演出をするジャニー喜多川は「素晴らしい帝劇の歴史を汚さないようにと……」と社長のコメントを紹介するが、その続きでは「ジャニーは「帝劇の舞台は奥も袖も広く……」と(新聞記事で記事中は敬称略はあるが)「喜多川は」でなく「ジャニーは」と書き、もう一カ所も「サーカスのような技もタレント自身がこなすことが大事です」とジャニーは力を込める」とここも「ジャニーは」と書く。例へばポール=マッカートニーの記事で「ポールは」はありだが芸人でガイジンの場合であつて(ポール牧は牧さん)、フランク永井を「フランクは」ともアントニオ猪木を「アントニオは」と呼ばぬ。しかもかなりいろ/\な意味で著名でも表に出てこない芸能事務所の社長である。たしかに「ジャニーさん」と呼ばれてはゐるが帝劇の記事なのだから「喜多川は」でいゝと思ふのだが……「ジャニーさん」が通り名だから「ジャニーは」なのかしら。
朝日新聞国際衛星版の週刊アジアで星加坡特派員が伝へるに李光燿国王が大学の講演会で高齢化や低出生率など質した大学院生の女性に「一定数の移民の受け入れは必要」としつゝ、その院生に恋人はゐるか?などと尋ね「いません」の答へに「どうぞ時間を無駄にしないでください。博士号の取得よりもっと大事でやりがいのあることがある。博士号も彼氏も、取得できることを期待してゐます」と告げ「35歳までに子どもを産むべきだ」と李光燿。まったく不愉快なジジイである。
▼保釣(釣魚臺=尖閣諸島)で海上保安庁の国土防衛に抗して香港の活動家が海に落ちて死亡してから昨日で十五年の由。あのときは香港で中国返還を前に何とも、な抗日機運の高まりだつた。