富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

TANSTAAFL~!!!

九月二十日(火)さう/\昨日、雑誌「世界」読んで、で綴り忘れは佐藤栄佐九さん。昨日のコメント(常無常人さん)にもありますが何か根本的なところで国家から全てが疑はれ初めてゐる。たゞかういふときは逆に昭和維新のやうな社会を革めてしまほうといふ流れになるのも怖いこと。それと、も一つ書き忘れは十一月の勘三郎中村座。松竹の歌舞伎会で昨日が会員の先行発売で郷里の母に頼まれ切符とったら、すでに上級会員から発売三日目に当つたがまぁ売れ行きのいゝこと。今日の一般発売で即売り切れかしら。何かと諸事忙しく机に凭るまゝ晩に至る。銅鑼湾で某セミナーあり。セミナーとかアタシは大の苦手で記憶にある限りセミナーなるもの2000年だつたか香港でMPF(強制積立年金制度)開始の際に某保険ブローカー会社主催のセミナーに参加して以来、いろ/\案内来ても一度も参加してゐないと思ふ。そのMPFのセミナーも結局のところMPF紹介する側もMPF導入前では具体的に何がだう、と殊更深い認識あるでもなく渡された資料に書いてあります通り、でそれならセミナーにわざ/\足を運ぶまでもないこと。結局、セミナーなど出てもあまり得もなし、と思ふ。あゝさういへば大前研一先生のセミナーをば昨年だつたか拝聴(笑)は何だか販売方法怪しげな健康ケア用品のPRであつた。といふわけで、そんなセミナー嫌ひのアタシがなぜ今晩か、といへば某大手財閥系非銀行系金融会社(以下、Fx社)が海外送金で銀行に比べ為替レート良く、その上、契約手数料、送金手数料も要らず、銀行に比べ簡便に海外送金が可といふ。あまりに出来すぎた話だが、アタシのやうに日々、グローバルでボーダレスな国際金融に携はるストラテジスト(舌を噛みさうだが)としてはこの海外送金がだういふ仕組みなのか、Fx社はどこから儲けがあるのか……と珍しく興味が沸き、それでもセミナー嫌ひなので事前に電話で問ひ合わせると本当にチラシにある利点の他、アタシが「条件としてあるだらう」と思つた約束される例へば送金額の最小限度額や年間の最低送金回数やらなど一切の条件もない、といふので、余計にいつたい何なの、これ?と思つて(前置きが長いが)そのセミナーに参加。今晩は日本企業、日本人が対象といふことで(要らないと思ふが)日本語通訳つき。始まる前に少し時間あり、ガイジンの、いかにもエリートの国際金融人然としたプレゼンテーターに雑談で思はず「で、いつたいオタクの会社、どうやっても儲けますの?」と尋ねると「いきなりそれかよ」といふ表情で苦笑して、よーするに外為で、フラットレートで為替取り扱ひ、そこの操作で送金動かすことで、ほんの薄利を得るが送金の取り扱ひ量多く銀行のやうなコストをば徹底的に削減すれば多少の利益あり……とかなりリスキーだが実はこの実はFx社の送金システムは南半球の某国某銀行を介してをり、といふか実際にはこの某銀行の「金融商品としてのこの送金システム」のいはゞ香港の代理店がFx社で、アタシが想像するに、この十年くらゐ南半球の通貨が外為でまるでトリックスターのやうに存在してゐるからフラット為替で旨みあり、でこんな不思議な送金システムが生まれてゐるのだらう……なーんて実はアタシもまるっきしの門外漢。だが概してそんなところだらう。まぁ兎に角、仕組みはわかつたので一安心。USD200,000の送金をする場合に例えば某月某日の同時間のレートをこのFx社とHSBCで比較した場合にHK$1,800もFx社の送金システムの方がお得だといふ。送金額が大きくなればなるほど、送金回数が多いほど、たしかにこの違ひは大きい。ここは納得。で、も一つの関心は本当に銀行の送金手数料が無料なのか、といふこと。事前に電話で問ひ合わせたときに、こちらはこのFx社に口座開設するにせよ、送金先もFx社なりのシステム上に口座開設しなければならぬのか?と質すと相手はその必要なし、通常の銀行口座で良いといふ。で、手数料無料は本当かよ?が疑問。今晩のプレゼンのあとQ&Aでプレゼンテーター君に「本当に銀行手数料がないの?」と突っ込む。彼は不要といふが、アタシともう一人の方が執拗に尋ねると、だうやらこのFx社のいふ手数料といふのは香港の銀行から送金する際の手数料(香港はわずかHK$100なのだが)と外為の両替上の手数料のことで、確かにこの送金システムでそれは発生せず。だがアタシらが矛先を日本と想定すると最も気になるのは、あの、日本の銀行が外国から送金を受け取るだけで為替リスクも何もないのに受取り側が払ふ「受取銀行手数料」なる摩訶不思議な手数料(三菱東京UFJ銀行で確か2,500円だか)。香港の銀行にはそんな手数料は存在しない。当たり前。まさか日本の銀行がこの送金システムについては手数料無料とするはずもなく、となるとこのFx社なり南半球の某銀行がそれを負担? それでなくても薄利のフラットレートでのリスクある利益から、こんな費用を捻出するはずもない。「日本の銀行の手数料」なんて話題に固執するのは、これがワールドワイドなセミナーなら他の方に失礼だが今晩は「日本といふ特殊な世界」対象なので敢へてこの質問に拘つてみる。結局のところ、どうもこのガイジンさんはこのシステムを売ることについては専門でも日本といふ摩訶不思議な未開国に送金なんてしたことがないので日本の銀行に受取銀行手数料なんて馬鹿げた手数料が存在することすら知らなかつたやう。ひとまずセミナーのQ&Aは「これまでクライアントが日本に送金したケースはあるが、そうした手数料を受取り側が取られることでクレームなどあったケースはない」でチョン。Fx社側にしてみれば「日本にそんな受取銀行手数料があるにせよ受取側が払うなら送金側には関係ないからいいぢゃない」だらうが、多くの商取引の場合、受取側が1億円なら1億円の受取りを求める場合に送金側がこの相手側の受取手数料を負担するケースがかなりあり。極端な話、その分を加え100,002,500円送金するか。または送金手続きの際に「受取銀行手数料は送金側が別途支払い」指示する項目あり当方で負担することになる。といふわけでアタシらが2,500円でも20回なら5万円が経費削減できるか、は夢と消える。やはり"There ain't no such thing as a free lunch"なのだが「日本の銀行がおかしい」のが原因だと思ふとやはり未開国の悲しさよ。
▼昨日の日剰にアタシが「「冷や」といふのは温めてゐない=常温のことなのだが最近は冷酒と勘違ひされるのが困つたもの」と綴つたら少なからず反響あり。いかに皆さん酒好きか。でチョートク先生も宗教上の理由で大吟醸は飲まれないといふ。やはり。同じ宗教の信徒だつたとは、嬉しい。そして、これは格言で「不味い酒は苦手ですが、美味い酒はもっと苦手です」と先生。御意。美味くしようと思つてヘンに丹誠込めた大吟醸だとかは困る。そんな酒だから、宗教上はダメなのだが供されてしまつて、だうしても飲まなければならないときは氷で冷やして味を殺すことになる。