富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

ジョージタウン、睡眠不足で二日目

fookpaktsuen2011-08-12

八月十二日(金)薄曇り。近隣のディスコ騒音でまんじりともせぬまヽ朝五時半。いろ/\なディスコティークな音楽を聴く機会を得たが未明に最後まで元気だつたのは印度調。なんかわかる気が。で音楽が止み寝入つてしまひ起きたら八時半。あたしにしてはもう午前中を台無しにした感あり。海に向つたテラスで朝餉。さう/\マレーシアって烏が多かつたかしら。虎視眈々と朝餉を狙ふ烏も利口でアタシらの粗食には見向きもせず。容赦なく狙はれる客が躍起になつて烏を追ひ払ふが烏にしてみれば食べ切れぬほどの量をビュッフェで皿に盛る人間をとても野蛮に思つてゐる加茂。已に他の客室の準備が整つたといふので引っ越し。海に面した普通の套間は部屋はこのホテルで三つ目に広かつたGergetown Suiteの三分の二くらゐだが部屋にゐても万歩計が必要なほど歩きまわらずに済みさう。とにかく静か。バトラーに総支配人宛のメモを託す*1。出街。猛暑のなかの散歩だが、すでに凡その地理とバス路線もわかつたので楽。せめてプラナカンマンションくらゐは、とご見学。買ひ物はバチック扱ふ印度商店で腰巻きと冷房対策のストール。お昼は格成茶室。Z嬢と叻沙、海南鶏飯をシェア。ドリアンのアイス。どれも格別に美味。午後遅くまだ外歩きのZ嬢と別れホテルに戻りプールサイドで新聞読み、読書。静寂を台無しにする団体客の襲撃。宿泊者専用のエリアにどこのテロリストか、米国人か、と思つたら国連なみに世界の国から。従業員に質すとツアーなんだがホテルゲストで、と何だかよくわからず、バーが休憩用に占拠されてゐるのでバーテンダーに尋ねるとこのホテルと同じE&Oが営業するマレー半島のオリエンタル急行のツアー客で鉄道が走つてゐないのにご苦労さまにペナンに渡る行程あり。ちょうど戻つてきたZ嬢の話ではこの四、五十人の団体がトライショで市街御練りで同系列のホテルにご休憩にお立ち寄りの由。休憩はいヽが同じ経営の列車観光の客とはいへホテルのプールサイドは「宿泊者専用」となつてゐるのだから宿泊者ぢゃない者が入るのは間違つてゐる。この豪華列車ツアーの連中は何の臆面もなく水着でデッキチェアに横伏してゐるアタシを囲むようにプールサイドから海を眺め、の立飲パーティ。勿論、こんなイベントを組むホテルにこそ問題あり。だがホテルもホテルなら客も客、でデリカシーの欠如。恥ずかしくないのかしら。三十六計逃げるに如かず。哺時、出街。路線バスでGurneyの方へ向かう。本来なら路線図を見れば一目瞭然のはずがペナンのバス(Rapid Penang)はrapidするあまり路線図を見るとバスが空を飛んでゐて路線がわからない(こちら)。そのうえ道路は真っ直ぐでもロータリーがある毎にバスが左折してしまつて、その方向に進むのかと思ふと次の角を右折してまた元の通りの先に出て……と路線バスのルート掌握が容易でないところがバス好きには、また面白いのだが。Jln KelaweiのPerut Rumahなるニョニャ料理の食肆で夕餉。ペナンにありがちな古いお屋敷の建物を改造して地元料理を上品に食べてもらひませう、といふ、この食肆に関しては何だかSir David Tangのチャイナクラブにゐるやうな印象(でも、あれほど下品ぢゃないが)。ニョニャ料理がZ嬢のおばんさいと何も変わらぬこと、逆にいふとZ嬢の料理がそれなりにかなり美味いこと、それを肴にいつも酒をいたヾいてゐるのだから贅沢なこと、を染み/\と感じる。それしてもペナンも麦酒とか高すぎ。コンビニでもRM6.50って香港ドルなら妥当だけど2.6倍なのだから。Gurneyにも用がないので(車がないと歩けない)路線バスでペナンプラザ、New World Parkのあたりまで戻る。ショッピングセンターに用事があるわけでもなく、この距離なら歩いて帰ろうか。コーランの調べ、で何だかその向こうに粤曲が流れてきた、と思つたら神廟の横の広場で粤劇公演。盂蘭盆。さういへば今朝の光華日報に盆の中元に粤劇の開催も観客少なく、それでも節会ゆゑ地元民が協力して、と。少ない観客のなかにフランス人が一人、マカオ在住16年ですつかり粤劇の贔屓、夏の旅行でペナンに来たら粤劇で楽しみ、と酔狂。で、ペナンにこんな粤劇団があるのか、と感心したが記事で肝心の何処で開催、が見当たらず。それがこれ。けして上手とはいへぬ芝居だがペナンの粤劇団でなく福建省漳州の億勝歌劇団の歌子戯、つまり子ども芝居。十代の若者が暑いなか一生懸命で鉦太鼓に音曲も十代の若者。しばし観劇。十三夜の月を愛でつホテルへと戻る。今晩は渚の音ばかり。熟睡できさう。
▼昨日は政府派の光明日報読んで、今日は孫文の革命運動に起因する光華日報(変遷はこちら)を読む。波止場に近い旧社屋も眺めたが、この新聞は不遇の時代から野党の民主行動党(DAP)を支へた由。で論調も確かに。そのDAPの選対顧問(劉鎮東)が次の国政選挙に向けインタビューに答えてゐるが、ペナンでは半数以上の人口が英文教育を受けており、DAPは基本的は支持層に加えこの英文教育群、さらに印度、アチェなどの支持獲得が目標と唱へる。興味深いのは国政占拠での4割の得票は主に華文教育群が基礎票になつてゐるといふ指摘。もと/\マレー人と華人の棲み分け、役割分担があるマレーの歴史だが政治はマレー系、経済は華人系なんていはれてゐたが政治で民族主義の色合ひが強まると、これはこれでいろ/\亀裂も生まれやうといふもの。

*1:市街に向いた套間ゆゑ騒音や明かりとりの難もあり広さに比べリーズナブルな料金設定で提供してゐるにせよディスコと部屋の壁向こうの夜中も動く業務用エレベータの音はひどすぎ。ホテル向かいの歓楽街も最近の開発のやうで元来、あんな野蛮な隣人は想像しなかつたのでせうが出来てしまったかぎりは二重窓にするなりすべき。エレベータの起動音はだうしやうもないにせよ、例へば深夜から朝は従業員の上り下りもロビーからの客用のエレベータを使ふなりすれば良からう。いづれにせよこんな状態の部屋とは知らず選択してしまつたのがアタシの間違ひだがホテル側ももつと対策を講じるべき、と。