富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

CHOTOKU×R‐D1 羅馬/維納/布拉格

fookpaktsuen2011-07-29

七月廿九日(金)海南島の方へ往つた台風の影響で天気不安定。実家から一ヶ月かかつて船旅楽しんできた中上健次全集(神保町の田村書店から入手、全15巻)届く。さてどこに置こうかしら。箱は日焼けしてゐるが本ぢたいは読まれた形跡もなく中冊子がきちんと揃つてゐるのも熟れしいところ。今日、もう二つ心うき/\だつたのは、一つはConte Maxの医者カバンの修理を自己流で済ませたこと。も一つはEpsonのRD1sが電池がイカレてしまつて使ひものにならずにいたが今回の帰省で実家に届いてゐた電池を持ち帰り復活。さつそく試し撮りしてみるが、やはりいゝカメラ。一昨日、チョートク先生にカメラは何をお使ひですか?と尋ねられたときにGR IIIと答へたが本当なら数碼ならこのRD1sを挙げるべきだつた。なにせチョートク先生の、初代RD1が出た頃の“CHOTOKU×R‐D1 羅馬/維納/布拉格”の写真に触発されて(殊に表紙に用ゐられた、屋根裏部屋のあの写真!)当時のRD1はとても手が出ず浦山しいかぎり。RD1sで、やうやく手許に置けたのがこれ。やつぱり最近のやたら写りのいゝカメラにはない柔らかさがたまりません。さらに本体の液晶回転板を裏返しておくことで撮つた瞬間にモニタで映像確かめるといふあんな下品なことをせず(現行のRD1xでは回転板がなくなつたのが残念だが)フィルムカメラで現像するまでの、ほどの楽しみはないがせめて自宅に帰る、あるいは撮影が終わつてパブで一飲といふときくらゐまでは撮影した風景は見ない、といふ奥ゆかしさがいゝぢゃないか、諸君。晩に西湾河の二記海鮮飯店。たかだか数日、東邦に戻つてゐただけだが香港に戻つてきて二記のやうな肆に飰すと、あゝ香港に戻つてきたな、と染み/\と思ふ。明記糖水で榴蓮綿綿冰(ドリアンのさら/\アイス)頬張る。ちくま文庫橋本治内田樹」読了。治さん自身があとがきに認ためてゐるとおり重要なことなんて六になく、まつたく意味のない本。悪口でなくホントにたゞ頭が良くて感性豊かな二人のオジサンが目黒のウエストとかでシュークリーム頬ばり紅茶飲みながらでれ/\と話してるかんぢ(実際には駿河台のヒルトップなのだけど)。あたしは映画監督が自作について語るのが嫌いだが、この本もほとんど樹さんが聞き手で治さんが自作小説の手の内をバラすやうな語りが続く。それをあたしは聞きたくないから読飛ばす、とほんと内容がない。いくつか覚へ書きで綴つてをくと

  • 日本的経営を見直すのだったら、経営者であることの誇りとか、実力とか、美しさみたいなものに、何かもういっぺん立ち返るしかないんじゃないかなあと思いますね。(橋本)

これはお二人が他のところで言及してますが「了見」。一応、仕事も覚えてゐる、判断もできなくもない、たゞ何が足りないか、といはれると「了見なんですよ」みたいな、あれ。それと治さんの作品は結構読んでゐるやうでゐて「アストロモモンガ」は未読。治さんの発言でもう一つ

  • インターネットの弊害というのも、そういう大衆化みたいなもので、本来参加しない方がいい人が、どんどん参加してきてしまうから、そのことで意味がなくなってしまうのかなあという気はする。こういうことを言ってはいけないのかなあ……。(橋本)

これに樹さんが「どうぞ言ってください」と促すのだが、これも一理あり。何事でも楽しみはそれを享受できる人が限られてゐるくらゐがいゝ時代で写真だつて携帯電話だつて、さう。それが遊園地とか勧工場なんて物見遊山ならいゝんでせうが芸事も好事家の遊び事もほんと地味に茶屋や陰気な旅館なんかに鳩まつて、だからの良さ。今は何だかすべて開けっぴろげで詰まらない世の中になつちまひました。
▼天災なら温家寶首相の登場が鎮魂となるが温州の高鉄事故、これぢゃ家寶札もダメ。今日の蘋論(李平)は「起來,不願做高鐵奴隸的人們!」と題して昨日、事故現場訪れた「因病卧床」の温首相に対して「中国高速鉄道の大躍進計画、鉄道部門の体制と「中国の特色ある和諧社会」なるものをきちんと見直すべき、と提言。先づ、今回の事故で奇跡的に救われた少女が話題となるが、その同じ車両には無傷ながら窒息死した三歳の男の子もをり、その死因は救出もされぬまゝに高温の車内に閉じ込められたもの。だれが救援活動を止めたのか、誰が車両の処理と事故車両の土埋を決めたのか、温家寶が首相の立場できちんと責任の所在を明らかにすべき。次に、高速鉄道の拡張計画、大躍進を見直すべき。この高鉄網整備が金融恐慌後の経済を刺激と温家寶は嘯くが09年に6千億元、10年に8.3千億元、今後5年に3.5兆元を投じるが国産の高速鉄道技術は未熟で民衆の血と肉を投じてどうするのか。高速鉄道ならぬ高危鉄道なのが実態。三つ目に、鉄道部門の問題。鉄道当局が毛澤東、鄧小平、江澤民ら中共領袖の特別列車走らせることで鉄道当局の幹部の傲り高ぶり。鉄道部が08年の組織改革でも道路、航空と水運と一緒に交通運輸部になることの拒否がこれ。最後に挙げるのが政府は人民の安全が第一といふが実際にそれが成させぬなかで誰が監視できるのか。自由な言論の重要性を改めて認識せよ、と。

橋本治と内田樹 (ちくま文庫)

橋本治と内田樹 (ちくま文庫)

これは読みもしませんが「風が吹けば桶屋が儲かる」で佐々淳行はもう今年になつて三冊目? 民主党のダメ政権の危機管理不足のうえに東日本の震災と核禍で、もう水を得た魚とは佐々センセイ。こいつらが国を滅ぼす、って叱るがその亡国の輩がゐてこそ、のご活躍で何より。何より。
ほんとに、彼らが日本を滅ぼす

ほんとに、彼らが日本を滅ぼす