富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

田中長徳先生の尊顔を拝す

fookpaktsuen2011-07-27

七月廿七日(水)朝、小雨のなか田中長徳先生に余の麻布鳥居坂旅寓までお越しいたゞき朝餉ご一緒する。初対面の方と朝餉を一緒する、といふのはチョートク先生のいはれる通りかつてのバブルの時代のパワーブレックファーストで商談も朝から、のやうだし永田町キャピトル東京の「をりがみ」では今だに政治関係でPBFは現存してゐるの加茂。いづれにせよチョートク先生とは挨拶もそこ/\に歓談款語始まる。といふのもアタシも先生のブログや雑誌連載など読んでゐるし先生も拙いこの日剰を読んでいたゞいてゐるので何だかもうずいぶんとお知り合いのやうで今さら事前説明ゐらず。さういへばあの話がこの話、と辻褄があふ。でこの国際文化会館の庭からも見上げる麻布材木町の昼図に来られませんか、といふ先生のお誘ひで鳥居坂下り「一寸昔はこんな道路は無かつたですよね」と麻布軍用道路を上る。先生が噂通りけっこうな速さで歩かれるのに遅れないやうに、アタシもけっこう早足のはずなんだが散歩の年季が違ふ。北日ヶ窪町の旧牧田邸、真田邸のあたり抜け昼図へ。先生がお仕事されるライブラリー。個室からの東都一望。国会の議員会館の立て替へと高層化で国会議事堂が見えなくなつたのは構はないが議事堂に落雷ってのが眺められません、と先生。霞ヶ関ビルが出来たときに確かに民草がため展望フロアはあつたが本当にそこを楽しんだのは霞会の旧華族の方々。それに対してこの麻布材木町の昼図は平民でも入会条件満たせば、本当に東京タワー見下ろす感じなんですね。何だか東京タワーといふのは皇居と同じで見下ろすのはどうも失礼に思へる。東京タワーも飛行機ならまだしも、まさかビルから見下ろされるとは覚悟もなかつただらう。本当は折角の記念に写真撮りたひが、彼のチョートク先生の前で写真を撮るなんてアタシにはそんな大それたことも出来ず。最近、時代の流れに反して葉書を綴つたり素描を描いたりするので、そんな話をするとチョートク先生からは直ぐに荷風もスケッチでカフェの女給を、とか濹東玉ノ井の横丁の風景云々なんてこゝから話題がまた膨らむが、そんなわけで六本木昼図から見下ろすと東京タワーがどんな感じか絵で残す。先生にはこれでちょっと何彼を入れて額なんかに入れただけで、といはれたが確かにアトから朱を入れただけでやはり下手は下手でも何か違ふ。チョートク先生の噂の委ぱっど、ここまで年季の入つたiPadも見たことないが、確かに単なる道具であつてその道具をきれいにカバーで包るんだりは愚の骨頂か、アローカメラの我楽多の2.4カメラ円の値札もはつてあるのを拝見、触らせていたゞく。肝心なことに先生が今日お持ちの写真機、拝見させていたゞくを逸した。昼図から見下ろすと、本当に眼下の軍事道路から外苑東通りが東都の市街の周縁で青山墓地は市街の外、外苑はいふまでもなく外、赤坂御用地は内で信濃町*1から四谷三丁目、牛込柳町から鶴巻町、で神田川にぶつかる。成る程。先生のお仕事のお邪魔できないので(これから執筆、そして午後はそのiPadで道具取材を受ける由)話はもつともつといろ/\お聞きしたいが遠慮して場を辞す。兎に角、是非とも早く「今が旬」の極東の偽リスボンへ、とお誘ひ。旅寓に戻り部屋引き払ひ(チョートク先生と下榻の反対は何かしら?といふ話にもなつたが)麻布散歩Z嬢*2と銀座へ。もうすぐ昼とき。Z嬢が天ぷらとかもいゝけど下世話なラーメンと餃子とかも食べたい、とまだ正午前なら並ばなくてもいゝ加茂よ、と彼女が贔屓の「大王」に連れていつてくれる。中華西銀座大王といふ。いはゆる古典的な日本の支那料理で銀座では、どころか日本の平均価格でいつても良心的なお値段。満足。Z嬢と別れプランタン銀座にある東急判図、Conte Maxの皮鞄の修理をしたくて皮用の針と丈夫な専用の糸など求め文房具購ひ、檸檬社のなかを目を粒つて通り抜け、リーガル靴店で靴の中敷き求め、これ以上、銀座にゐるのが怖いので早々に退き六本木へ。青山書店で書籍数冊求め猛暑のなか旅寓へ戻り知己に暑中見舞ひなど葉書数葉認ためZ嬢の戻りを待つ。旅荷まとめタクシ自動車雇ひ東京ステンショへ。成田エクスプレスで空港へ。三崎丸で寿司。満席のJAL735便で香港に戻る。機中「銀座百店」の七、八月号を読む。前者はタニザワ、後者はトラヤ帽子で呉れた。子どもの頃、祖母や母が貰つてきたこの小冊子を読むのが大好きだつたが、本当に素敵な内容のさすが銀座の品の良さ、の雑誌。それと橋本治内田樹の対談集(筑摩文庫)読むうちに香港へ。帰宅して三更半夜まで旅荷片付け。

*1:創価学会は内だが慶応医学部病院は外といふことになる。

*2:Z嬢は朝、チョートク先生にご挨拶ののち麻布西町から旧松方邸のあたりを散歩してゐた由。