梁智鴻醫生だつたとは……

fookpaktsuen2011-06-04

六月四日（土）晴。断腸亭の日剰で腹瀉に始まり脚気、ホルモン注射まで土州橋は大石国手、中州医院と頻繁に通ひ日剰読む度に何を大袈裟なと思つてゐたが余も老いるにつけ日剰も身体の何処が痛いの悪いのの記述多く病院通ひも頻繁。子どものころから病弱で殊に皮膚科はかなりお世話になつたが胃腸不適など茶飯事、風邪もひき易ければ最近は殊更冷房に参つてしまひ困つたもの。こヽ十日ほど悩まされた咳と喉痛、頭痛は昨日まで一つ大きな仕事片づける間に病ひも失せる。Ｙ国手より処方の抗生物質が効果覿面。で今日の話題は（笑）泌尿器科。老いて如何せん排尿も煩わしく膀胱あたりの痛みではないが何とも不快感あり常に微妙な尿意感じてゐるようですっきりとせず。前立腺だらう。で朝から香港醫生網で泌尿器科の専門医に片っ端から電話するが土曜開業の医者も非番だ離港中だ、爆満だオペ有り……と拉致開かず。Ａから十数件目のＬで中環のDr. Leongなる医者が「今すぐこられるなら」と診断可。で診療所が名医（といふか高級医）揃ひの中建大厦なのが気になつたが、まぁ早速、で出向く。で診療所のドアの前で立ち止まりさすがにアタシも青くなつた。といふのは「梁智鴻醫生」。太平紳士で今は確か香港政府の行政会議の成員。八十年代に任命制の頃から立法局議員で香港医学会会長、医院管理局主席（SARS疫禍の責任とり辞任）。で文革曾が行政長官になり行政会議に推挙され……とアタシでもそこまで諳んじられるくらゐ香港一の有名医。で医師の政治好きは多いが梁国手は香港でも有数の医家の出自で*1実際に泌尿器科の名医で手術の上手さから「金刀梁」なんて呼ばれるほど。これほどの国手の診断をＡから順番で当たるも八卦で予約してしまつた一見の患者。名医すぎて通常なら知己紹介のはず。診療費だつて、かつての武見太郎くらゐ覚悟が必要か。それでもこの機会に名医に見てもらふに越したこともない。それにしても泌尿器＝前立腺＝後庭触診とは。診療所のまえで暫く躊躇もあり。で診断。診察室に入るなりまぁ見事な大人ぶり。破格。世間話から始まり初老の男性の体調がだう、自分はかう、と話が続き、ものの一、二分で診察。前立腺炎か肥大か、まだ／＼軽症ですよ、との診断。加齢もあればストレスもある、といはれ妙に納得。処方薬授かり「念のため」と近くのラボをば紹介され血液検査*2。検査と合わせ尖沙咀の見城さんの処で二人でお寿司といつたくらゐの診察費。これから競馬場で尊顔に拝したら挨拶くらゐ能ふ。豐澤*3にiPad2購う客の列。昼前にFCCでＺ嬢待ちつ昼酒。希臘風の羊肉のミンチと茄子のオーブン焼き。想像以上にあつさりで美味。午後に油麻地。上海街で調理用具見て歩く。今いちばん欲しいのは氷砕機とはミルトンビーチ社のバー用ブレンダー。だがＺ嬢の監視厳しく入手能はず。冷房使わぬので夏の電気代だと思へば安い買い物なのだが。路線バスで銅鑼湾。ヴィクトリア公園。夕方ですでに晩の六四追悼会の準備始まり支聯會や社民聯、學聯などの広報活動始まつてゐるのを眺める。帰宅して読書。新聞読み。ベルモット一杯。ドライマティーニで超ドライなアタシはベルモット殆ど用ひず、だが必須でいつも一瓶空けるまえにベルモット変質で駄目にしてしまふのだが、ふと気づいたのはベルモットそのまヽ飲んでもいヽこと。なんでこんなこと今日まで気がつかなかつたのかしら。晩に秋田産のうどん茹でて食す。六四の追悼会は主催者発表で15万人参加といふ。晩遅く英国エプソム競馬場からの中継見る。ダービーで英皇后の持ち馬カールトンハウス一番人気。パドックで女王陛下ご機嫌麗し。カールトンハウスは三着で19歳のバルザローナ騎乗のプルモアが優勝。先ごろ女王陛下が英国王としては百年ぶりにアイルランド訪問したがカールトンハウスは父がアイルランド馬で名前が“Street Cry”で母は英国馬の“Talented UK”といふのも偶然とはいへ考へだすと。今日のFT紙（週末版）に六頁だてで競馬特集あり（こちら）。当然ながら英国の競馬の話からダービー、米国やアラブの王様の話から香港競馬まで話題にあつてヴィクトワールピサにも言及あり。
▼北京で公安当局の厳重な監視のなか「天安門母親」らが天安門事件で命おとした愛息らの墓参（蘋果日報）。遺族の一人が勇気もつて追悼文読み上げ「亡くなつた彼らは当時、民主化、そして党政府内の汚職など公義として不正改善を求め運動を起こし命をおとしたが当時に比べ現在は更に官僚の汚職や横暴が強まり社会の不公平は拡大してゐる」と。まさにその通りな現実。