富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2011-04-05

陰暦三月初三。清明節。曇。春になるこの時期、アタシは何が辛いッて花粉症ぢゃなくて腰痛。温度と湿度が少し上がると腰痛が神経伝わり足まで来るのが。部屋を片づけ寝室に立てかけてあつたキース=ヘリングのポスターが、もう二十年近く前のものだがすつかり色落ちしてしまひクレパスで黄色を塗り直し。震災のあと旧知の方々と音信復活。ようやくメールで返事。一段落して昼前にドライシェリー一酌。猩々はゑがふら〜っと飛んで来た。昼にパスタ食し赤葡萄酒一杯。昼寝するでもなく午後も机に凭るが結局は江頭2:50「ピーピーピーするぞ」被災地いわき市への救援物資お届けの巻などネットで見る。本当に立派な方。夕方、Z嬢と尖沙咀。太空館。佐藤文郎監督のドキュメンタリー「アヒル、ある日いつの日にか」看る。出雲で道路拡張で立退きとなる古い旅館が舞台。もつと素直なドキュメンタリで旅館の老夫婦が主人公と思つたが監督自身の観念が先行してしまつてゐて残念。何だかごちゃごちゃ言つてゐないで映像で素直に現状を見せて、と言ひたい。想田和弘の映像の出来とは対極的。暗い室内で撮るときくらゐ照明つけてほしい。映画終はつてOcean CentreのBose商店。もう20年近く使つてゐたB&OのBEOSYSTEM 2500といふ20年前は最先端のデザインの(今でもこの未来主義は美しいが)hi-fiが(カセットテープ部分は10年以上前に壊れてゐたが)さすがにここ数ヶ月、CDも読み取らなくなり寿命。で買ひ替へで訪れたBose商店は予想はしてゐたが大陸漢の典型的メタボ若年寄で賑はひアタシらの対応にあたつた黒服の職員の横柄さに閉口して商品看る気も減なり。で尖沙咀のiSquareにも同商店あり、そちらへ。Z嬢は居間用にお手軽All-in-oneがご所望でBose社のAcoustic Wave® music system IIといふことに。B&Oのが未来のhi-fiならこちらは見た目は空気清浄機。希望の黒ボディが香港に品薄で今月末に入荷の由。支払いと配達を依頼。今晩は三更にÁlex de la Iglesia監督の“Balada Triste de Trompeta”を看る予定してゐたがフィルム未着!で上映取消の由(昼に主催側から電話で連絡あり:Citylineに顧客登録済みで電話番号をば先方が知つてゐたため)。今回の映画祭で最も楽しみにしてゐたので残念。数日後の上映は既に爆満。Z嬢と尖沙咀で夕食となり是非とも日本料理屋救済!と思つたが丼物の専門店でたかだか鉄火丼がHK$150以上もするのを見て二人で日本酒でも飲んだら400ドル以上か、と思はず嗤つてしまひ吉野家へ。二人で70ドルでお釣りあり。考へて見たら震災のあと香港で日本料理屋に入るのはこの吉野家が初めて。だが吉野家はけして核禍で敬遠されてゐるフシもない。香港の吉野家の食材でわざ/\日本から調達が何なのか、もピンとこないが「紅生姜?」と思つたが香港ではさういへば紅生薑って頼まないと出てこない? ところでなぜ鉄火丼が150ドルで牛丼は30ドル以下なのかしら。鮪は鮮度が大切で、も解るが海で穫つて切るだけ。養殖も多いが牛を丹精込めて育て食肉加工して牛丼用に調理すること考へると後者の方が値段が高くなりさうだが。今日は吉田健一「東京の昔」(ちくま文庫)読んでゐたが尖沙咀の本屋でチョートク先生の「ライカワークショップ」(枻出版)入手、でそれを読む。本を読みかけでZ嬢に「やっぱりマグロは酒肴よりご飯が合ふ、って、かの魯山人もやつぱりさうだつて」と言ふとZ嬢は「マグロ、魯山人?で田中長徳、ライカワークショップ?」と怪訝な表情。そりゃさうだらう。
▼香港の映画祭に佐藤忠男先生と奥様のお姿を拝まなくなつて久しい。何年か前に「海外の映画祭にはさすがに来るのが大変になります」と仰つてをられたがその佐藤先生(御年八十余)がペルーの映画「悲しみのミルク」(こちら)の評を朝日新聞で読む。日本は公開が遅すぎ。同時代性つて大切だらう。


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