富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2011-01-28

一月廿八日(金)晴。また少し寒くなる。早晩に帰宅して旅荷づくり。最後の食材整理で雑煮を食して三更に空港へ。
澳門賭博老人家財産騒動。結局、老人家が二、三房による財産の不正横領をば訴へることに。二、三房連合に大してすでに路傍に置かれてゐたやうな正妻の娘らが老人家倒れる迄は最も寵愛受けてゐた第四夫人と提携。これからどれだけドロ/\とした醜聞が始まるのかしら。
▼昨日に続きNHKはNW9の新燃岳の噴火の中継。「都城市役所によると」火山灰や火山岩の処理は危険、とくに屋根や高いところの作業は危険なので注意が必要です……と。これが報道か。
▼岩波『世界』二月号。寺島実郎・能力のレッスン、より。
9・11に逆上して踏み込んだアフガニスタンイラクで、米国は5800人を超す若者を死なせ、累積3兆ドルに迫るとされる戦費負担に呻吟することとなる。また、米国流金融資本主義が歪んだマネーゲームを肥大化させ、「悪魔の知恵」サブプライムローン問題がリーマンショックをもたらし、世界経済を破綻の淵に追い込んだ。つまり、この10年とは世界秩序の中核にいた米国の権威と正当性喪失の10年であったとさえいえる。(略)さて、日本は無極化というべき全員参加秩序に積極参画する視野と構想を持っているであろうか。残念ながら、相変らず「冷戦型」の世界観を引きずり、米国との同盟だけを頼りに近隣の脅威に向き合おうとする視野から出られずに苦悶している。自らを直視するならば、日本は無極化時代を生き抜く理念性について、潜在力を有していることに気付く。
……と寺島氏は平和憲法と積極的平和主義を熱く語る(それを聞かない人も多かろうが)。で三島由紀夫を挙げるのだ。

私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。このまま行つたら『日本」はなくなつてしまふのではないかといふ感を日ましに強くする。日本はなくなつて、その代はりに、無機的な、からつぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、拔目がない、或る經濟的大國が極東の一角に殘るのであらう。それでもいゝと思つてゐる人たちと、私は口をきく氣になれなくなつてゐるのである。(果てしない約束)

このあと寺島氏は団塊の世代に「他愛もない老人と化すのか、あるいは後代を育てて日本の進路の方向付けに汗を流し、高齢化社会を意味あるものにするのか」と訴えるのだが、それはそれでまた虚しいところもあり。もう遅すぎないかしら。

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