富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2011-01-10

一月十日(月)今日は陰暦では十二月初七となるが日捲り暦で「初七日」と書かれてゐると、どうも誰か他界しての「初七日(しょなのか)」と読めて、朝、ちょっと気分が良くない。晩遅く帰りがけに、ふと酒が飲みたくなり流感で三日ぶり!にJacob's CreekのShiraz Cabの一合瓶購ひ立ち飲み。美味いなぁとしみじみと思ふHK$25である。先週末から不調だつたiPhone3Gsの撮影箇所(カメラとは呼ばぬぞよ)故障。購入から5ヶ月。「よくも5ヶ月も保つたな」と感心してゐるのが我ながら情けない、アタシの住むところから50kmくらゐのところで作られるAppleの端末機器。
李嘉誠。かつては戦後の香港の経済成長の象徴でこの人が富裕になれば香港の全てが同じ幸せをば共有できると信じられ香港の財神扱ひ。「〇〇貿易公司の株が今が買ひだ」なんて情報が「じつはオレの契兄がタクシーの運転手なんだが夕べ、李嘉誠を偶然に乗っけて李嘉誠が深水湾の自宅で降りる時にチップ代わりに〇〇貿易の株が買いだぞ、と教へてくれた」とか、李嘉誠など富豪すぎてタクシーにすら乗るはずないのだが、そんな話が実しやかに伝はるのも、潮州の小学校出のこの人が裸一貫から香港フラワー*1で起業し香港暴動で暴落した不動産投機で財を成し英国財閥の香港旗艦企業を次々と買収し……がいかに庶民のヒーローであつたか。それがどこから悪口も言はれるやうになつたのか、間違ひなく確かなことは1997年以降、アジア通貨危機バブル崩壊、金融恐慌など経るなかで所得格差が広がり勝ち組と負け組が隔たり、李嘉誠は世界中の事業を呑み込み貪欲に巨大化するのに民草は一向にその恩恵にも肖れず。李嘉誠財閥といへば本来のロハス(ってロハスぢたい胡散臭いが)とはまるで現実に異なるゴミ埋立地の有毒ガスすら懸念されるロハスパークなるマンション群開発や尖沙咀の旧水上警察の樹木無惨に伐採したホテル開発など、かなり杜撰で傲慢な開発事業が非難の対象ともなり、ちょうど時を同じく香港アクション映画のヒーロー、ジャッキー=チェンが芸人の分際で余計な香港や台湾の人々への苦言で舌禍となり今では台湾訪れられぬどころか香港に住まふも厭はれ大陸に旅居の身、李嘉誠とジャッキー=チェンなる二人の戦後香港のヒーローが訝られる今日この頃。今日の蘋果日報は(反李嘉誠で売るところもあるが)李嘉誠の深水湾で大改築中の豪邸で政府の土地が不正に提供されてゐる、と報じる。八掛新聞のデタラメと思ふ者より「さもありなむ」と感じる者の方が多かろう。
▼嫌はれた、といへば山崎正和で、山崎正和といへば「柔らかい個人主義」なんて消費社会を美学にまで喩へ糸井重里よりもつと社会に迎合した文化人だとアタシは思つてゐたし中道で見方によつて少し(いゝ意味での)保守、ちょっとリベラルに映つたり、なにせ教科書や試験問題への出し易さがいかにもこの人らしい、と(いゝ意味ではなく)感心してゐたが今日の読売新聞で

もう一つ心配なのが、大衆社会がより悪くなることだ。ブログやツイッターの普及により、 知的訓練を受けていない人が発信する楽しみを覚えた。これが新聞や本の軽視につながり、 「責任を持って情報を選択する編集」が弱くなれば、国民の知的低下を招き、関心の範囲を狭くしてしまう。 ネット時代にあっても、責任あるマスコミが権威を持つ社会にしていく必要がある。

なんて言はなくてもいゝことを言つて呟板の利用者の間でまたゝく間に呟かれ舌禍となる。さらに山崎のそれを成人の日の「読売社説」とした呟きが流布されたことで読売批判も広がり一寸した騒ぎ。更にその誤解への非難。何だか誰だかの呟く通り「社説または一面社外筆者論文の「内容」の論議なのか、その論文を「社説」と誤解したことが問題なのか、整理が必要。」と。御意。どうであれ山崎の主張もジャッキー=チェン的に嫌はれるし載せた読売はもつと最悪。何を守ろうとしてゐるのか、とくと読売の権威と奮闘を見守ろうではないか、諸君!……と成人の日といへば山口瞳

↑しかもこれが利用施設の中に掲示されてゐるならまだしも利用前の施設使用予約のHPで「よく利用規則を読んで」の中に書かれてゐるのだ。こんなの世界で日本だけ、だらう。
富柏村サイト www.fookpaktsuen.com
富柏村写真画像 www.flickr.com/photos/48431806@N00/

*1:第一勧銀になる前の勧業銀行の薔薇の造化がこの李嘉誠の香港フラワー。