富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月十四日(火)曇。晝すぎ小雨。湾仔のImmigration Dept.で再発行となつたHKIDにマカオ入境での自動改札手続きの登録済ます。
▼昨日だか一昨日の明報で誰だつたか手許に紙面がないので朧げな記憶だけだが

  1. 1997年の香港の中国への返還はさういはれるが正確には中国が香港統治の主権を回復したのであつて*1一国二制度とか特別行政区自治権などあつても基本的には香港市民の公民権も中国といふ主権国家下にあることは好き嫌ひでなく明らかな法的事実であること。
  2. 中国は非民主主義国家といはれるが一党独裁が現実であれ全国人民代表大会が国家の最高機関であり、それが中国共産党主導の特色ある社会主義国家の建設を認め、全人代は各省と特別市の人代の構成員によって選挙で選ばれ各省と特別市の人代は更に下級の人代の代表によつて選ばれ、その下級人代は「人民の直接選挙によつて選ばれた」小規模な市や大規模な市の区、県や鎮の地方自治体議会の議員によつて選ばれる。つまり直接・間接民主主義制度をとつてゐる。そこで共産党候補が圧倒的に強く結果的に一党独裁となるのと政治制度とは違ふもの、と。米国の大統領選挙が米国国民に直接選ばれず間接的であることを誰も批難もせず中国の「制度を」批難することは誤謬があろう。而も確かに制度的には中国は国家主席すら全人代が選ぶといふのだから「制度は」とても民主的。
  3. 香港は一国二制度で中国による主権回復前の資本主義体制が保障されてゐるが、逆にいへば一国二制度で中国の特色ある社会主義体制も保障されるわけで香港が中国国内の体制批判することは干渉であり、それにより自らの資本主義体制や人権などを圧迫することになること。

といつた指摘。修辞的ではあるがかなり興味深い。我々は「制度」と「体制」を混同し易い。

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*1:香港は清から英国に割譲され主権が移行、が前提で清の後継国家が主権「回復」となる。