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九月四日（土）曇。東京の朝の気温が摂氏30度。香港は今は摂氏27度だが台風と雨の影響で今日はこれから気温が下がる、といふ。陋宅は風で肌寒いくらゐ。晝から打合せ一つ済ませ午後遅くＺ嬢と九龍蘇屋邨。戦後の香港の公共団地群がまた一つ閉鎖され解体待つ。地域団体が十一月までだつたか毎月第一土曜に住民退去後の杜鵑樓の一部開放。アンティーク家具や生活用品展示もあり。参観。歴史的価値もあろうが戦後の巨大な安普請の住宅そのまゝ遺してをけず既に安全性に問題ありジャッキで支へてゐるのだから。それでも石硤尾、長沙湾、牛頭角など付近の難民住宅→公共団地が次々と解体されることで貧しくとも辛くとも賑やかに楽しく、の「獅子山之下」の戦後は遠くになりにけり。この1960年に完成の団地、16棟、5.3千世帯、単位面積は20〜50平米、計画時の居住者数は1.5万人だが最大3.3万人で、つまり一世帯平均で６人余、20平米に６人は過酷なやうだが石硤尾など50年代前半の所謂、難民住宅に比べれば「まだ全然、マシ」な公共団地。青山道の賑やかな商店街歩き新華茶餐廳で一休み。下午茶で公司三文治。青山道を深水埗の方に上り漫ろ歩く。深水埗は茘枝角道にあるカルト的な三和模型。入り口からのミニカー、プラモデルの品揃えだけでも大したものだが奥から二階に上がる鉄道模型がカルト的。アタシは鉄道好きでも幸ひ鉄道模型趣味がなくて良かつた鴨。凝つたら破産するだらう。でも素敵な世界。元州街の山東餃子店。隣の緑林甜品で紅豆沙を食す。
▼この日剩でも何度も引用せし信報での陳雲氏の筆述。それが昨日、紙面で「敬告讀者：因副刊改版，本欄今日終止。筆者感激諸君十一年來之厚愛及包涵。餘下之題材，各依系列，續寫成書出版。」と突然の休筆宣告。今日の蘋果日報の隔牆有耳によれば八月十日の信報に掲載された「港財閥請「地獄式捐獻」」が経営部門の神経に触れた由。陳雲氏は香港の地産商の社会貢献や慈善事業、公共インフラ整備支援など「善事」を「妓院老闆勸人守貞」（淫売屋の経営者が貞操を人に勧めるやうなもの）と揶揄。

肉商勸人食素，妓院老闆勸人守貞，也會是出於真誠和善心的，你我也許都見過這類思想矛盾、但心地善良的好人。矛盾是有的，但不怎麼大。總有人要食肉，也總有人要嫖妓，肉商或妓院收手也沒用，總有人會賣肉和賣淫的。肉商在行善的時候，可以選購合乎規格的安全肉食，屠宰盡量人道，肉檔準備少份量的包裝，歡迎顧客買少份量，鼓勵人家少肉多菜。妓院在行善時，可以人道對待娼妓和嫖客，光顧過於頻繁的，勸他發展其他嗜好，照顧家庭，有鬱結或沉溺的，便要勸他看心理醫生。

と（このあと地産商へ歯に衣を着せぬ批判が轟々と続くのだが）この健筆、筆致が読めなくなると思ふと残念。
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