富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-08-29

八月廿九日(日)午後遅くまで在宅。夕方、旺角。Z嬢と夏の映画祭でトルコのSemih Kaplanoglu監督の映画“Bal”(Honey)見る。今年のベルリン映画祭の金熊賞受賞。Z嬢にこのHoneyに至るEggとMilkの前2作の物語を聞く。そこから記憶を辿るやうに幼少のHoneyになる見事な構成。それにしても美しい映画。トルコ映画を見たので、とMongkokのトルコ料理屋、Our Restaurantに夕餉。帰宅して丸山眞男の「日本の思想」續き讀む。天皇制による國體も実は実体が何を意味するか、は政府首脳ですら不明だつたもので、近代日本の「国のかたち」は雑居的無秩序にあり加藤周一は日本を「雑種文化」と呼び雑種制から積極的な意味を引き出すことを説いたが、それは正しいが、先づ「雑居を雑種にまで高める強靭な自己制御力を具した主体」を生み出すことが、私たちの「革命」の課題、と丸山眞男は主張する。御意。だがその「自己制御力を具した主体」、これは樋口先生のいふ自立した自律的な自己だが、それを戦後60年とう/\作れぬまゝ。戦後そうした精神の「革命」(池田先生が人間革命とかおっしゃるだけで、それもこれとは違ふのかしら)、それが出来ぬまゝだから、こんな世の中になつたが、もう遅すぎるのかしら。


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