富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-06-26

六月廿六日(土)昨晩からの雨が終日やまず勢ひも衰へず。午後の所用済ませ早晩に堅道の京香餃。先に来てたZ嬢はすでに麦酒独酌。美味い餃子喰らひ麦酒飲む。食後に中環に戻りたいが折からの雨で道路は渋滞、来るミニバスも数台續けて満座。致し方なく中環まで歩く。Z嬢と別れ市大会堂。今晩は成都の川劇院が(四川の歌劇といふと変臉ばかり話題になるが)今晩は「紅梅記」通し。楽しみにしてはゐたが会場に着くと雨に濡れたより汗びっしょりで冷凍庫の如き会場の冷房恐れ而も身体がちく/\と蕁麻疹の気配あり。とても二時間半の観劇に耐へず、と市大会堂辞し帰宅。陰暦五月の十五夜だが雨空に月もなし。蕁麻疹の薬を服したが眠気おとずれるまへにジャレド=ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』下巻読了。ダイアモンド教授は自説は「環境決定論」ではない、と力説されるが判断の難しいところ。
▼香港の政改、わが日剰の頁捲れば文革曾と公民党党魁・余若薇のテレビ公開討論あり弁舌巧みな余若薇の勝ちと思はれたのが先週木曜。その週末に政府小役人らの陳腐な「起錨」キャンペーンが市中お練りは全く効果なかつたが超法規的な梁愛詩刀自が宿敵・民主党の政改案に賛成仄めかし今週に入り政府と中聯弁が民主党案受け入れ表明で立法会での審議続き昨日、民主党案が賛成多数で通過。このわずか十日の駆け引きは下手な芝居よかずつと面白かつた。さらに民主党は政府寄りと思はれぬやう、ちゃんと「普選実現に向け七一デモに!」とアッピールは何だかやけに正確な位置取り。
朝日新聞(文化欄)の小島寛之帝京大学、数理経済学)「菅政権 壮大な社会実験」より……
消費税増税の評価は割れているものの、首相の政策方針は国民におおむね評判がいいようだ。内外のバブルを傍観してきた結果、人々が「しこたま儲けるための仕組みを作る」というインチキに騙されなくなったからではないだろうか。「虚妄の成功」よりも「人ごとでない不幸」に目を向けるようになった国民だから、「最小不幸社会」というフレーズが心に届いたのかもしれない。「最小不幸社会」という言葉を聞くと、筆者には哲学者ロールズの主張したマキシミン原理が想起される。人は、前途についての無知に苛まれたとき成功より不幸に視線を向けると彼はいう。不況も、人が先行きの不確実性と戦う自信を失って貨幣に執着している状況と解釈できる。新政権の経済政策は、このような「視界不良からくる貨幣型不況」への戦線布告と言っていい。
と。最後の新政権への期待は評価のわかれるところだらう、が指摘はまさに現状そのまゝ。
▼中国の近代画の大家・呉冠中画伯逝去。享年九十一。

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