六月廿三日（水）夕方に大雨。晩も忙しくなりさうだつたので早晩、銅鑼湾のCitysuperにある元八で拉麺食したのに三更に小腹空いて今度は天后の華姐清湯腩で腩河食す。「食べること」がストレス解消になつてゐないかしら。華姐で旧知のM君に遭遇。お互いこんな時間に夜食はねぇ、と。
▼今晩のツィマーマンのリサイタルはソナタ２番で昨晩の１楽章終はつたところで拍手する同じ轍を踏まず、は良かつたが、なんと１曲目の夜想曲が終はつたところでも客の抑制が過ぎたのか拍手なしとなつた由（Ｚ嬢談）。うーん、これはこれで困るだらう（笑）。しかも今晩は演奏中に執拗にプログラムめくる客がゐると係員の注意が入つたさうでツィマーマンご本人からのからのクレームなのかRTHKかの録音があつたさうで、そのためなのか（まさかねぇ……）。いずれにせよ昨晩にもまして緊張の空気たちこめてゐたらしい。
▼立法会で政治改革案審議。民主党提出の折衷案めぐる賛成派と反対派の応酬續く。リベラル派弁護士らが「45條關注組」を組織し、それが母体となつた公民党は結党当時、何でも反対派の民主党に対して良識派と映り（今日の信報で王岸然氏の指摘の通り）2005年に文革曾により政改案提出された際は（泛民主派の反発で廃案）中聯弁が「まぁここはひとつ」と交渉相手に選んだのが（当時の）45條關注組の湯家驊議員だつたわけで、それが５年後には公民党が最大抵抗勢力となり民主党が妥協とは……。あの公民党がなぜここまで頑なに？とアタシも不思議だつたがよく考えてみれば「45條關注組」の彼らが注視する基本法45條が何か、といえば
第四五条 香港特別行政区行政長官は地元で選挙または協議を通じて選出され、中央人民政府が任命する。
なわけで、つまり公民党にとつては行政長官の全面普選こそ党是（日本の自民党の自主憲法制定のやうなもの）。だから原則論を通してゐるに過ぎない、といへばその通り。それに「ぶっちゃけた話」でいへば公民党の議員など大部分が弁護士、会計士など収入の安定した専業人士なわけで議員やめても喰つていける人たち。それに対して民主党の議員は多くが「議員が本業」と思へば政権との政治的妥協も「あり」かしら。また民主党は結党に至る経緯はご承知の如く天安門事件での支聯會が母体だが昨日綴つたやうに現執行部は（マーチン李柱銘的）中国民主化といふ前提に増して香港自治のアジェンダが主。北京中央的には「中国の内政への干渉、民主化加担などしなければ」香港の地方自治くらゐのことならいくらでも現実的に対応ゐたします、といふところだらう。まさに政治の現実性。
▼香港政界でかつて「変色蛙」と渾名された李鵬飛氏（全人代香港代表）が信報で今回の「政治改革の最大の功績は梁愛詩にあり」と。先週土曜朝に北京の友人から電話あり民主党の改革案は見るに見たが、といふ話が正午には別の北京の友人から「民主党案受け入れ」と連絡あり、と鵬飛君（かうした言及で自分が北京にチャンネルあることご披露は李鵬飛らしさ）。で六月六日に自分の誕生日のお祝ひ梁愛詩も招き彼女はその時点では民主党案は2007年の香港基本法に関する全人代解釈にも合致しない、と指摘し今回の政改案もひっくり返るのではないか、と。それが梁愛詩が北京を懸命に説得にあたり北京では太子党（幹部二世一派）と團派（派閥）確執もあり（香港の地方自治に彼らがこだはるとは思へぬが……）、結果的に北京が民主党案呑んだのは梁愛詩の功績なのだ、と李鵬飛。結局は香港政界のご意見版としての「自分の存在感」の誇示。それでも「変色蛙」だけあつて文章の最後は、一部反対分子脱党などあらう民主党の再統合は難しく民主派勢力が再編される場合に今回の政改争議で反対派の中心的な余若薇が中心となり普選実現に向け動いてゆくだらう、と民主派への配慮も忘れず。さすが……李鵬飛。
▼昨晩一更に菅首相がニューオータニで小一時間、中曽根大勲位と会談。「サミットに向け」となつてゐるが「基本的な姿勢について」助言を受ける、がミソで「市民的保守と国民的保守」についての意見交換かしら。この時期だから「サミットについてお話を伺ひたい」といへばさう無理なく会へる。菅君も大勲位の「菅君は市民的保守」にピンと来るものがあつたか。二大政党制の中道左派が菅党首、中道右派が中曽根党首ならうまく機能するのに。大勲位のすごいところは自分の政治信条はあくまで右でも、それをさしおいても「ウイングを左に広げて」統治の理論を優先させたところ。思想信条の深いところにあると思はれる靖国参拝も後藤田さんに理で諭されるとパッと引つ込める。小泉三世あたりだと逆に信条抜きの心情だけで動くから、政治判断で方向転換ができぬところ。
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