富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

看世博遊安徽

fookpaktsuen2010-06-19

六月十九日(土)晴。机に凭るうちに昼近く。中環に出て用事済ませ正午に鏞記酒家。深圳に出張帰りの新横浜I君が15時のフライトなのにゆっくりと昼をご一緒。アタシは午後さすがに酔つてはいけぬ用事あるのにI君は目の前でぐび/\と麦酒呷られ目の毒。午後会つた地元の連中から何故日本は少子化対策で外国からの労働力と移住受け入れ、日本製品販拡と観光誘致のための円安、国際化のための英語と中国語の教育の普及等々「そんな簡単なことなのに……」と指摘受ける。ご尤も。それが出来ぬ日本は<自滅社会>といふ未来しかないだらう。早晩に太古城のLevi's牛仔褲店で恐らく15年ぶりくらいに牛仔褲購入。反米とか牛仔褲穿かぬ主義なのでなく90年代に購入の二手=古着の501の牛仔褲が丈夫でずつとそればかり。たヾあまりに草臥れ擦切れなど目立ちジャケットに合わせるにも一寸、で新品購入なんて三十年ぶり鴨。太古城のCityplazaの隣に新規開業のホテル(East)の屋上にバーがあること思ひ出し33階まで上がつてみると夕立のあと九龍見渡す絶景で麦酒二杯。奈良生駒のT君よりメールあり。
君があたり見つつも居らむ生駒山、雲なたなびき雨は降るとも
生駒山も良からうが香港でヴィクトリアハーバーから旧啓徳空港、飛鵝山の眺めも捨てたもんぢゃない。これで啓徳空港で飛行機の離着陸あつたら最高にスリリングなのに。帰宅して反米のアタシが米国加州のBeringerのSaub Bl 05年飲みながら浅蜊のパスタ食しスポーツ観戦せぬアタシもさすがに日本対和蘭の蹴球世界盃の中継眺める。親日派シーボルトだつて日本が和蘭に勝つたら怒る。英国では競馬でGolden Jubilee Stakes(G1)あり香港から出場の鳥語花香(Happy Zero)応援したく三着入賞なら固いかしら?と思ふが香港で複勝1.0倍ってそりゃないだらう(結果、香港では単勝3.5倍の一番人気で24頭だて21着と惨敗)。 
▼上海万博への誘客広告で「看世博遊上海」もそのセンスの良さ?に驚いたが今日見かけた「看世博遊安徽」も強烈。そりゃ大阪万博でも京都観光は期待されただらう、先端科学と古都の組み合わせは品が良い。だが筑波の科学博で日本中のJRの駅に「科学博から水戸、奥久慈へ」と袋田の滝の写真デカ/\とキャンペーンしたのか……した鴨しれないが、この「看世博遊安徽」の風景画のセンスがねぇ……素敵。
広東省の受託製造業、自殺者相次ぎ工員の給与改善など急ぐ富士康などイメージ的には大手メーカーからの受注で製品製造の末端といつた印象強いが実は富士康クラスのEMSとなると最先端の電子機器の具体的な設計から受注するのださうで金型の設計だけでも数百人規模の由。やうするに製品のコンセプト、イメージなど基本的なところをAppleならAppleが出して発注すると具体的には広東省の受託側が細かな設計図の作成から全て行いプロトタイプ機が出来上がり発注側がそれを見て「あーだ、こーだ」と改善点などまとめ……の世界なのださうな。
角界の賭博醜聞。相撲取りなど歩いてるだけで「あ、お相撲さんだ」と目立つ存在。ちょっとパチンコだつて身体も大きいし難儀だらう。番付も上になればたまにタニマチが遊びに連れていつてくれる程度の世界。毎日、朝から相撲の稽古とチャンコの代はり映えなき日々。野球で賭け事くらゐしてみたくもならう。それにしてもオツなのが床山の介在。部屋付きの床山さんが髪を結ふあひだスポーツ新聞眺める関取が「今日の巨人対ヤクルトは」なんて呟いて「巨人にこれだけ」なんて指三本立てると床山が「はいよ」なんて……なか/\よく出来たシステムと感心。
▼「保守」の概念。人間の限界を謙虚に受け止め歴史的な経験知を大切にする。極端な変革ではなく人々が信頼しあいながら安定的に生きることのできる環境を整えていく。そんな穏健的な立場こそが保守の神髄である。(中島岳志

富柏村サイト www.fookpaktsuen.com
富柏村写真画像 www.flickr.com/photos/48431806@N00/
http://twitter.com/fookpaktsuenhkg