六月十八日(金)蕁麻疹がかなり退き安堵。今日は努めて隠定に。早晩に帰宅して赤豆の炊き込みご飯。片倉佳史(こちら)『台湾鉄路と日本人』読む。了。ジャレド=ダイアモンド著『銃・病原菌・鉄』下巻を読み始める。数年前に上巻讀んだのみで途切れてゐた。
▼今年五月に逝去の画家・陳海鷹(右下の写真は若き海鷹と齊白石)。享年九十三。十七歳で李鐵夫に指南したこの画家の絵画「拾荒的孩子」(右)にまつはる話(卡夫卡)を昨日の信報に讀む。陳海鷹の子息(陳為民)の伝へ聞きによれば1957年に香港の街頭で海鷹は遭遇した汚れた身なりの少年に惹かれ、この少年を描かうとしたが少年は三日後に請辞。麻薬売買にかゝはりアトリエに来れぬ、と少年の弁。そこで海鷹は一気にこの「拾荒的孩子」書き上げたが少年は二度と姿を見せず。その後この絵画は中環の聖ヨハネ主教座堂に展示されたが毎日この絵を見に訪れる一人の老人あり。なか/\絵から離れようとせず更に海鷹に高価でこの絵を買い取りたいと願い出る。事情を聞けばこの絵に描かれた少年が老人の生き別れの息子のはず、と。海鷹はこの男に替わり息子を探さうとしたが、それも実らぬうち老人はこの絵画を得ることもなく他界。その後も海鷹はいくら美術館が高値を告げようとこの絵を手放さず、いつか画中の少年が現れる日を願つたが願ひ叶はぬまゝ逝去。この少年も生きていればもう古希。
▼築地のH君が坂野潤治先生だったかの明治からの日本政界モデルを使つて民主党を分析して見せてくれる。
(1)右派−戦前は天皇主義、戦後は改憲 田中義一、鳩山一郎、鈴木喜三郎、岸信介、安倍晋三
(2)保守派−戦前戦後通じて公共事業中心 原敬、高橋是清、田中角栄、竹下登、小沢一郎
(3)自由派−安上がりの政府、構造改革 井上準之助、小泉純一郎、前原某、野田某、直嶋某
(4)社民派−福祉派 吉野作造、社会大衆党、江田三郎、菅直人、仙石某、枝野某、辻元某
(5)左派−戦前は天皇制打倒、戦後は護憲 幸徳秋水、徳田球一、土井たか子、福島瑞穂
H君指摘するに民主党ほぼこの(2)〜(4)の三派が三分の一ずつ烏合。
鳩山政権は(2)と(4)の連合で(3)を押さえ込み更に(5)をも自派に加えることで(1)にも対抗。これは結構理想的な布陣だったような気が。鳩山君にもつと力があればかなり保つたはず。
菅政権は(4)と(3)の同盟で(2)に対抗し(5)を切り捨てることで選挙後には(1)たとえば「立ち上がれ日本」と組む余地さえ残す
権力の中心は(4)とはいへ全体的な権力バランスから見ると(鳩山政権より)寧ろ右に寄った感じすらあり、と。このモデルでの分析はかなり明確。
台湾鉄路と日本人―線路に刻まれた日本の軌跡 (交通新聞社新書)
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富柏村写真画像 www.flickr.com/photos/48431806@N00/
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