富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-05-23

五月廿三日(日)曇。Z嬢と天后から路線バスで晝前に元朗着。紐育カフェ&グリルでビフテキではいきなり終はつてしまふのでWilliam鄧達智君が勧めてゐた客家料理の自家人餐庁に食す。水車館里の路地裏で客家訛りの主人の人当たり良く気取らぬ客家料理供される。元朗は東の街外れに新元朗中心があり軽鉄の総站あり交通の拠点でこそあつたが西鉄の元朗站が出来てYoho Townの集合住宅開発が續き殺伐な感ぢ。元朗が都市化するなかで取り残された感あつた元朗舊墟はこの東部の交通拠点開発でかなり便利な場所になつたが、つまりは財閥系デベロッパーに虎視眈々と狙はれる。九号幹線道路に沿ふ旧道を76Kの路線バスで新田に向かふ。途中、南生田、米埔の豊かなマングローブを西に眺めるが、貨物トラックの集積地でもありFairview Park、Palm Springsといつたお世辞にも上品とはいへぬベッドタウン化した密集型住宅地が広がりマングローブの向かふには深圳の高層建築が屏風のように並ぶ奇怪な風景。深圳との境界、落馬洲に近い新田は新界では障ナ氏の屏山に並び古くからの居住区。昔ながらの塀に囲まれた小さな村が「いくつも隣接する」のが独特。文氏がこのあたりの有力者で、屏山の障ナ氏(William君はここの直系嫡子)や上水の彭氏、廖氏、侯氏と「新界五大家族」と呼ばれる。家々の密集する村内を漫ろ歩き文氏の本宅たる大夫第を参観。文公祠は通りがからず参観の機会逸す。家々の造りからしてもかなり裕福な村であつたし今も新築の家の立派さは驚くほど。かつて農業、漁業で生計を立てたなら農地や浜辺に家々が点在しさうだが圍村を築く=築かざるを得ぬ理由があつたのだらうし、今はここから市街の会社等へ出勤する暮らしなのかしら。小雨。夕方となりミニバスで上水。廣成冰室は行列に並んでまで紅豆冰も一寸、で退却。MTRで帰途につくつもりが観塘行きの路線バスあり上水から粉嶺の団地をぐる/\回り獅子山トンネルを九龍に出てからは黄大仙から龍翔道を走り社会科見学が一時間の路程。賑やかな旧市街を抜け雲南風味で早めの夕食。虎皮椒(大きな獅子唐)と舞茸の炒め物が美味。亦た路線バスで香港島に戻る。「現代思想」増刊(昨年七月)の総特集「加藤周一」やうやく讀了。

富柏村サイト www.fookpaktsuen.com
富柏村写真画像 www.flickr.com/photos/48431806@N00/
http://twitter.com/fookpaktsuenhkg