富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-05-19

五月十九日(水)夕方ひどい夕立となる。黄警報。雨宿りにシティスーパーに寄り酒売り場でリキュールの実地研修。
バンコク騒乱。香港人にとつてはラチャプラソン交差点の四面仏の安否も心配か。伊勢丹の入るCentral Worldも放火の炎上で部分倒壊の由。九十年代、プーケットに遊んだ時だつたか三島由紀夫の「豊穣の海」がなぜか最終巻がないまゝ旅に持ち出し讀み進め「最終巻がないっ!」まゝバンコク入り。日系書店はあるが新潮文庫で三島の「豊穣」あるかしら?と訝しんでゐたが紀伊国屋書店があると知り訪れたのがCentral Worldの伊勢丹。そのなかに紀伊国屋書店。当時、香港で大丸の旭屋書店に慣れてたアタシには驚きの規模。当然「豊穣」の最終巻ゲットしスコタイで讀み耽ける。シンガポール高島屋にもその規模に驚いたが商業施設の規模と水準で「香港が取り残される」感あり。あのラチャムダリとスクンビットの交差点、さふいふ「新都市」然としたなかにどこか旧態も残りインターコンチ頻繁に泊つたこともあり曼谷Y氏のマンションもこのまさに赤シャツ隊占拠地のど真ん中で、そこがこんな動乱の渦中になるとは。SARS911、海嘯など續くが立ち直りが早いのが21世紀の災禍の特徴。曼谷も度重なる政変、今年に入っても空港占拠など混乱あるが平常はすぐで、今回もそれに期待したいところだがスラウォンで長年にわたり旅行代理店営むA氏のメールに、今回は長期化したのと(これまでの政変が王宮の方だつたのに比べ)市街の中心部でのことに「初めて身の危険を感じた」と綴られる。不幸中の幸ひはプミポン国王君臨の下での政治危機で、もしこれが国王陛下お隠れでもあれば、その後の政変では全く収集つかぬのは明らか。今のうちに膿を出し切るべき。国王陛下の今回の騒乱に対する沈黙。老齢と健康不良もあらうが敢へて口出しされぬのも「ポスト=プミポン」の時代が近々到来することを、そこで国民がどうなるか、なにが出来るか、を考へる機会の授け、ととるべきか。
朝日新聞井上ひさし氏との思い出語る樋口陽一先生。樋口先生が憲法について語るに民主主義は大切だが民主主義も時として多数の暴威となる場合もあり。憲法の解釈とて現政権は(内閣法制局でなく)「政治主導」と言ふが「選挙での多数派」が全て決められるか、さうぢゃないのが「人類社会の知恵」と説く。さういふ意味で憲法は普遍法として絶対なのであり、それをさう易々と政治的に「改憲に賛成か反対か」で議論することに間違ひあり。憲法金科玉条「絶対に改正ができない」のではなく「改憲を主張する人が何を狙つてゐるのか」が危険だから今の時点で改憲はしない方がマシ。樋口先生の、この方の大局観、そのへんの右派、左派の学者と格の違ひ見せつける人類の知恵、普遍的価値といふ観念。
▼もう何年前だつたかアタシが日剰にJaco Pastoriusのこと綴つてゐたら日本の、確か九州だつたかジャコの熱心なファンの方がジャコ=パストリアスの所謂、海賊盤てんでせうか貴重なCDを何枚も送つてくれ当然、闇録音ゆゑ音質などあまり芳しくもないがファン垂涎のレアはレア、で何度か聴いてゐたのがCDがさてどこに仕舞つたかここ数年行方知れずにゐたが日曜日にCD架整理してたらCD-R六枚発見。それを今日、iTunesに落とす。年代順に1976年のウェザーリポートのAnn Arbourはジャコがウェザーリポートに加わつての初ライヴ。ジャコがウェザーリポート退団し結成のWord of Mouth Big Bandの1981年のMr Pipsと翌82年の大阪ライヴ(この時の武道館をアタシは一列目中央で見てをります)、1983年の同バンドのハーグでのライヴ録音。

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