富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-03-27

三月廿七日(土)晴。母と散歩して県立近代美術館。「アンソールからマグリット」と題して白耳義のアントワープ王立美術館の19世紀後半の印象主義から20世紀の超現実主義までの絵画を眺める。アタシは古い人間なので象徴主義からキュビズムあたりになるともう理解が怪しい。アンソールは解り易いしルイ=アルタン(ド=サンマルタン)の「海景」やウェルヘイデン(1846〜1905)の「カンピーヌでの巡礼」なんて作品を好む。最後のシュルレアリズムの展示の中でデルヴォーの「バラ色の蝶結び」(右)なる強烈な作品とマグリットの間にデルヴォーの制作年不詳のまるで中国の洗煉された近代画のやうな「ウェステンデの海」なる作品があり、これがとても興味深いのだつた。少し寒いが散歩には心地よき晴日。櫻はまだほころんだくらいで梅がまだまだ見事。掃墓。今月八日が先考命日。「このお花、誰からかしら」と母が微笑む謎の?献花もあり。彼岸もあり墓地は見渡すと色とりどりの花多し。墓地で母に三澤寛といふ彫刻家の墓を教へられる。平成五年に92歳で逝去。この人の猫の高さ一尺程のブロンズ製の猫が実家にあり昨晩それを譲り受け香港に持ち帰ることにしたもの。妹の自動車を借り郊外の蕎麦屋「だぼう」に昼を食す。店に入るなり蕎麦の香ばしさ漂ふ。せゐろとかけ。「少しですがどうぞ」といたゞいた春筍の天ぷらも美味。自宅に戻り荷物整理。午後のバスで成田空港まで春の暖かい日ざしのなか熟睡。成田到著。とらやで「春の里」なる羊羹や京樽でばつてらなど土産に購ふ。一昨日、昨日と一緒だつた従弟K君は成田空港内の免税店の店長でずつと第一ターミナルだつたので会ふ機会逃してたが半年前だかから第二だと聞きちよつとご挨拶。偶然だがZ嬢に成田空港で売つてゐるから、と頼まれた京都ようじ屋の商品を扱つてゐたのはK君の商店。CXのラウンジに寛ぎCX505便で香港に戻る。歓迎の三鞭酒ですつかり酔ひがまはりつゝ丸山眞男対談集「現代日本の革新思想」(岩波現代文庫)上巻を読む。鼎談の對手は梅本克己と佐藤昇。梅本先生を母だと存命の頃を知る。今回は先日古書ネットで入手の梅本克己「現代思想入門」(三一新書)も香港に持ち帰る。

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