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一月廿八日（木）曇。小雨あり。呆れるやうな判断にいくつも接し、そのテンションのまゝ帰宅して血圧測ると高く酒をちよつと呷つて暫くして測ると血圧は平常値に下がるから困つたもの。鶏肉のカレーライス食す。Ginger Milk Tea飲んだら睡魔が遅い二更半ばに寝てしまふ。
▼AppleのiPad発売。AppleのClassicやボンダイ色のiMac登場の時のやうな感動やMacBook Airのスタイリッシュさに比べると巨大なiPod touchに異常な驚きは無し。商品発表で壇上に現れたSteve Jobs氏が“I'm still alive”くらゐ軽口叩くか、と期待したが、商品よりこの人の登場こそAppleの本命。一時間のプレゼンの最後に流れたのはBlowin' in the Windだが、まるでこのiSlateの発売に合はせたかのやうに先週土曜日、広東省でApple社製品の委託製造する主力メーカーで職員（19）が宿舎楼下に屍体で発見される。傷跡あり殴打の疑ひもあり。この製造商は近年、職員の死亡事故相次ぎ昨年七月にはiPhone試作品16部をApple社本社に送る際に1部紛失があり調査中に職員の一人が友人らに無実とSMS送り投身自殺もあり。ディランの音楽と広東省の製造元の、このイメージの大差よ。
▼どうでもいゝネタだが粉ミルクで「コロス」は怖い。「ハチはゴムをします蜂蜜」は何かしら。ハニカム？
▼陶傑さんが「五區公投、全民起義」について蘋果日報の連載で評す。このスローガン、八字二句でまとめてはみたものゝ前句の「公投」に「票選起義」の意味合ひあるから後句がピシリと決まらぬ。毛澤東が天才的なのは土地解放で「打土豪、分田地」と手段（打土豪）と結果（分田地）が明解だから農民の支持得たわけで朝鮮戦争の「抗美援朝」（米国と戦ひ朝鮮を救ふ）も、それだけなら中国の当時六億の農民らの支持得られぬが「抗美援朝」に「保家衛國」と付ける妙。「打過長江去、解放全中國」も同じ。さうしたセンスに比べ「五區公投、全民起義」は「五区で立ち上がれ！」と言ふばかりで尻切れ蜻蛉。ところで毛澤東がある時、周恩来の前で「走資派は何処にゐる？」とじつと周恩来睨み呟いた。すると周恩来は多少動顛しつゝ「共産党の中に、でしようね」と答へ自らへかゝる火の粉を除けたさうな。
▼蔡瀾先生といへば香港で人気随筆の書き手と云はれるがアタシは彼が連載の随筆で自ら主宰する旅行ツアーの宣伝してしまふやうな芸風が苦手。最近はMEYERなる台所用品の広告に出てゐると思つたら案の定、随筆でもMEYERの宣伝。誰が何を云はうと「これでいゝのだぁ〜」だらう。

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