富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-01-09

一月九日(土)曇。出かけに地下鉄站の売店で今年版の香港街道地方指南購ふ。昨年と内容は大して変はらぬが少し計量化。紙質は劣化せず。午後遅くまで官邸でご執務。中央図書館でZ嬢と待ち合はせ「昔日香江蔵品展」見る(十一日まで)。香港収蔵家協会なる団体の会員の歴史写真や史料など展示。中環。Colorsix現像店にて写真受け取り。ライカM3の二本分。Stanley街からGage街、Gough街と歩き一旦上環に下り蘇杭街、東街、水坑口街を抜け東華三院傍の普仁街を一気にBongham Rdまで上り高街へ。香辛料を吟味し陋宅居間の収納棚の金具を取り替へようと選び、昌源酒荘で米酒購ふ。日暮れて第三街の西區社區中心。長春社文化古蹟資源中心で「湾仔、銅鑼湾歴史図片展覧」見る(今日まで)。任正全なる方の蒐集品で中央図書館のそれよりこちらの方が貴重な写真など多し。水街の光記に食す。ちよつと昔懐かしい塩辛さ、甘さと油つぽさの料理は美味。かなりの賑はひに納得。薄扶林道を下つて来た路線バスに乗り西隧道潜り一気に尖沙咀。香港文化中心。陳薩(Chen Sa)のピアノリサイタル。2000年のショパン国際ピアノコンクールで第四位。この年の第一位がYundi Liで彼とChen Saはどちらも四川音楽学院から深圳と同じコースでピアノ修練。昨晩が香港フィルとの合奏で今晩がピアノソロ。T夫妻がチケット買はれてゐたが行けなくなり譲つていたゞいたもの。元ソ連でタヽール出身のソフィア=グバイドゥーリナ(Sofia Gubaidulina, 1931年〜)のシャコンヌ、ベートーベンのピアノソナタは18番変ホ長調(作品31-3)と31番変イ長調(作品110)でこの二曲は今一つだつたが中入り後のラフマニノフの「音の絵」作品33からショパンマズルカから作品68の1ハ長調と作品24-2ハ長調でかなり本調子、同じくショパンのワルツから作品64-3変イ長調と作品42変イ長調は前者は殊に上出来でラヴェルのLa Valseで締めくゝりアンコールはショパンノクターンの1番変ロ短調。自分では来なかつただらうリサイタルだがT夫妻のおかげで良いショパンを聴けた。
▼正月早々の銀座天賞堂の高級腕時計強盗。壁を穿いて強引に侵入し、といふ手口も古典的だが時価三億円分の時計盗んだ犯人が香港と中国の「暴窃団」なる組織で香港で御用、つてなんだか古典的な「少年向け」探偵小説のやう。それにしても香港に戻つた賊を盗まれた時計ともども香港警察もよくぞ捕まへた、と思つたら、事の次第は斯くの如し:今月四日に秀茂坪の団地で香港開埠以來初めて郵便配達人が襲はれ郵便物入つた袋が盗まれる犯罪あり。警察は賊の動機が不明だつたが二日前に東京銀座で奪はれた高級腕時計が中国に流れると察してゐた警察は本来この郵便配達襲撃強盗は東九龍総区の重案組の管轄だが、それを高級腕時計や貴金属強盗専門の(これがあるのが香港らしいが)通称「O記」の管轄とし追跡調査。その郵便物袋は深圳に近い沙頭角で発見され特にめぼしい盗難もなし。その郵便物の大部分が秀茂坪の特定の某団地が宛先のものであることから警察は銀座で盗まれた腕時計が郵便で香港に送られ、それがこの団地に届く情報掴んだ更に別の賊が横取りをば画策し配達人遅い郵便物強盗したのではないか?と察して捜査開始。すでにこの団地で配達された貴金属と思はれる郵便物の受取人から容疑者をば逮捕の由。聞けば聞くほど少年向けの物語。蘋果日報の一面トップになりさうなネタだが今日は香港の繁華街で何度か続く劇薬をばビルの屋上から撒く男(容疑者)が廟街で現行犯逮捕されたニュースに食はれた。

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