富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-01-10

一月十日(日)曇りのち晴。滞港中の中野Y氏と銅鑼湾で待ち合はせ。本日はY氏の久々の香港での休日にアテンドなり。黄大仙に賽されるといふ。106系統の路線バスが便利。黄大仙に着き遅めの朝食。詠藜園は未だ開かず。中共系?新光酒樓で飲茶。黄大仙祠は何度か参拝したことあれ「占ひ」は未経験で場所すら知らず。Y氏が占ひをする、といふ。本堂でお神籤を引き番号控へる。「占ひ」が何処にあるのか知らず尋ねると境内の外=境外(けいがゐ?)にある建物に入ると占ひ屋がづらりと軒を並べ粤語、國語の他、潮語、復建語、英語、当然のやうに日本語と何語で占ひが出来るか、の競ひ合ひ。日本語で出来る占ひ師にY君占はれるのを聴く。当たるも八卦、当たらぬも八卦、信じるも信じぬも人次第。路線バスで藍田。香港仔往きの路線バスに乗ると隧道潜り香港島に渡ると北角から炮台山の市街抜けただけでハイウェイで一気に香港仔。ちやうど天気が恢復。島南の海岸もさすがに冬でひつそり。白ワイン一杯。タクシーで銅鑼湾に戻りY氏と別れ夕方の帰宅。昨日入手の金具をば居間の収納棚の扉に付ける。安い白ワイン飲みポトフ食す。
▼旧聞に属すが朝日新聞(昨年12月22日)に政権交替からまもなく100日と「政治の何が変はつたのか」の記事が秀逸。これが政治面でなく文化面なのが興味深いところで民主党が政権をとつたが基軸となる政策が出ないことで「危惧してゐた一番悪いところが出た」と不機嫌な山口二郎教授、二大政党制での政権交替に期待する後房雄(名大)や井上達夫(東大)らのコメント紹介しつゝ極めつけは保守思想の真骨頂としての西部邁先生。「変化それ自体がよきものであるといふ根拠は何もない」として民主主義の唯一の可能性を少数意見の尊重とし、その(万年野党の社会党からの)少数意見の可能性を調整によつて取り込んだ自民党政権55年体制のはうが「まだまし」と指摘。興味深い。
▼香港の不動産投機熱について(陶傑)。これが十年前のそれと違ふ点は当時のそれは香港市民が銀行からの借入金投じるバブルだつたが今日々のそれは中国からの余剰現金による大小の投機。実際には存在せぬ資金にあらずバブルの崩潰がない。小規模投資は中国の農民を出自とする者だから銀行融資など嫌ひ勤勉に働きせつせと貯蓄した結果の資金による投機。それが米国などに比べ容易であつた香港の景気恢復に繋がつたのだから香港は中国の小農文化意識に感謝すべき、と陶傑氏。また香港の億の単位で豪邸購入する資金、これがどんな汚職と腐敗によるものか、は厭はぬのは、これも現金ゆゑ。現金に色はついてをらず。
▼信報が社説で「高鐵は建設されるべき」と指摘(八日)。香港政府のこの建設計画の方策に問題があるのは事実。「八十後」(八十年代生まれ以降の若い世代)が主流となつた反対運動は本来の高鐵問題とは乖離。高鐵建設に反対する理由は数々あれ如何せん中国政府が全国の高速鉄道網の整備を確実に進める中で中国各地からの経済的効用に依存する香港にとつて交通網は生命線。香港の新空港とてあれだけ建設反対の声があつたが結果的に亜細亜有数のハブ空港として香港の繁栄に反映してゐるだらう、と。慥かにね、だが鉄道、しかも旅客鉄道の経済的効用にはかなり限界があらう。日本の新幹線でもアタシの感覚的には「人口六百万人以上の大都市が三時間以内=door to doorで飛行機より短い時間で結ばれてこそ」高速鉄道が便利。天津〜北京がそれ。香港〜深圳(羅湖)〜広州(東站)なら高鐵計画は活きるが深圳蛇口で広州番寓だからダメ。上海〜蘇州•杭州はこのルールに該当せぬが在来線の複々線化だから出来たもの。

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