富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-01-08

一月八日(金)宿酔ひどいわけぢやないがアルコールの分解に体力のほとんどがまはつてしまつてゐる感じで身体の熱量といふものがない。
▼香港では「高鐵」の建設反対が大事に。建設が大事なのでなく建設反対が大事なのが興味深い。香港と広州結ぶ鉄道は深圳〜広州間は複々線化したことで高速化され最速110分で結ばれたが如何せん香港側は数分に一本の頻度で運行される鈍行をば追ひ抜くことも能はずノロ/\運転。で新幹線建設の案が一気に現実化したのは中国の高速鉄道網の完備との連携。深圳〜広州、天津〜北京、上海〜蘇州•杭州で運行の始まつた「和諧号」で全国を網羅する計画。先日も広州〜武漢が三時間だかで結ばれる。香港〜広州の高鐵は広州が市内まで結ばれず「新横浜」情態で市内まで地下鉄で十数站の距離は、ならば従来の香港〜広州の直通電車と実際にかゝる時間はあまり変はらないだらう。でどこまで必要か?、利用者増が期待できるのか?と疑問も多いなか香港政府は具体的に香港側の始発站を九龍(MTRのAustin站に隣接)と決める。反対運動が具体的に起きたのは、この鉄道建設で新界の農村。有機野菜栽培する農家の多い通常「菜園村」がやうやく土質も改良され野菜の栽培が出来るやうになつたところで土地を徴用されることへの反対。かたや国家規模での高鐵網の建設、かたや地場の有機農園の畑の存続。本来、この規模の対比は明らかに前者が有利だつたもの。反対運動も当初は農民のそれだつたが、有機市民、市民運動団体、立法会の泛民主派と支持拡大。ある面では成田闘争的だが成田があれだけの国家の一大事で強制的に建設開港された当時の説得力に比べ、事実、三十年後に羽田拡張で成田の地位低下が現実となつてゐるが、今回の香港〜広州の高鐵もけして「なくてはならない」鉄道でなく国家的計画の一部であることとインフラ整備でカネが動く土建政治である二つの理由以外に何らホントの建設理由がないことで本来の反対派以上に反対にまはる輿論が形成される。立法会取り囲む反対派の集会が“festival look”(SCMP紙)。中国側にしてみれば、これの香港の「深層的矛盾」の一つに映るだらう。

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