富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-11-15

十一月十五日(日)曇。摂氏十六度。朝から出先でお仕事。冷雨。夕方帰宅する途中、タクシ自動車の中で丁度、香港ジョッキークラブ設立125周年紀念レースの中継を聴く。今季絶不調のホワイト騎手&サイズ調教師コンビがAlways Something馬で勝利。香港競馬で神様、サイズ様、ホワイト様と崇められた二人の不調、巷の競馬好きの間には「CEO(行政総裁)との関係不良」といふ噂もあり。現任のCEOはWinfried Engelbrecht-Bresges君で前任のLawrence Wong君がXeroxからの言はゞ競馬知らずのCEO就任だつたのに対してEngelbrecht-Bresges君は賽馬事務執行総監(Racing担当ED)からの昇格で競馬業界の叩き上げ、で競馬に詳しく厳格で……とそこまではわかるが、それがなぜホワイト&サイズに不利なのか、は巷で誰も説明できないのだが他にこれといつたホワイト&サイズの不調の原因がないものだから、この不仲説がへんに信憑性を帯びる。で、どうれあれ125周年紀念といふ紀念すべきレースでホワイト&サイズ来たり。中継のアナウンサーも「こゝで来たかーーーつ、ホワイト」と絶叫してゐたが、さういふものだらう。アタシはこの暗い日曜日に第三レースでClass-1の泥地競走あり、125周年の一つ前には来月の香港国際の香港盃予選もあり、いづれも馬主W氏の泥はサンニングゴルフ、予選はコレクション出走でW氏に肖り本日これだけダブルで一点買ひで15倍はW氏に足を向けて眠れず。馬票(Sweepstakes、宝籤)は一等HK$1250萬相当の純金で馬票の番号は12014439也。アタシが持つてゐた一枚は12104537で何となく似てゐる。だから「惜しいところ」でも何でもないのだが一攫千金逃した感じ。帰宅して熱いシャワー浴びてドライマティーニ二杯。ウオツカ一杯。韮入りの大根おろしの鍋で豚肉をしやぶ/\。今月初めの病み上がりでこの週末休めなかつたのはちよつとつらいところ、で早寝。
▼ところで本日、某所で遭遇の知己の小学校六年生が隣の中一から借りて読んでゐる本が何かと思つて覘ゐたら多喜二の「蟹工船」。アタシは多喜二は高校時代に左傾の国語教師に勧められて読んだんが最初だつたが、ブームとはいへ早熟、といふか多難なる時代を生きる彼らにはプロレタリアート文学は若いうちに必読かしら。
▼新聞のスクラップ整理してゐたら九月に董建華が新中国成立六十周年に対してその成果讃へた上で「国慶百周年の時には中国は富強、民主、文明、和諧を成し遂げた現代国家として中華民族は世界の平和的発展の実現に更なる貢献をするだらう」と宣はれてゐた。うーん、その中国の発展に香港特別行政区の初代行政長官としてミソを付けたのは何処の誰かわかつてゐるのかしら。
▼十月始に練乙錚が信報で三日に渡り日本の戦後の人口変化と経済成長に言及。今になつてやうやく精読。戦後の出生率高(ベビーブーム)はけして日本に限つたことに非ず。但し日本が他国と異なつたのは戦後の食料不足やインフラや福祉制度の未整備の中で政府が優生保護法を作り堕胎合法化となり、日本のベビーブームは四年で終はる。その二十五年後にその団塊の世代に子が生まれ第二次ベビーブームとなるが、その谷間に注目。もちろん他国でもかうした出生率の増減は見られるが日本ほど顕著でなし。日本は1950年から急激な出生率低下で労働者の家族扶養率が低下、世帯の貯蓄率が上昇し経済投資の資金の累積も増大。これが戦後の高度経済成長の原動力となつた、と。戦前の平均寿命の低さと戦争での成人人口の減少、ベビーブーム以降の出生率の低下で労働者が抱へる扶養家族の率がどの国よりも低くなつたこと。また出生率の低さで練乙錚が述べる興味深い指摘は、既婚女性の出生率はけして急減してをらず単身者が増えたことが少子化の一番の原因だ、として、その結婚せぬ理由の一つにすでに少子化があり、日本の場合、長男が親の面倒をみる伝統的習慣があり、長男と結婚することは對手の親の扶養がある。少子化で女性からすると結婚対象となる男性が長男である率が高まつたこと。興味深い考察。

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