富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-11-14

十一月十四日(土)感冒薬飲み熟睡できたが毛布から出るのも寒い摂氏十六度。午前ちゆう書室にて書類整理など済ませC医師の診療所に往けば急な寒さで診察請ふ病人多し。診療室に入るなり「商売繁昌と冷やかしたいのだらう」と苦笑される。天后の華姐牛腩湯に牛腩河食す。午後、官邸にてご執務。馬楽小浜君は来ず。小浜君といへば訪中を前に北京の米国大使館がObamaの漢字名を「奧巴馬」から「歐巴馬」に変へた由。発音がより原音に近いやうに、の措置ださうだが「奥」もなんだが「欧」も欧州のやう。在香港の米国総領事館は「奧巴馬」を特に変更する予定なし。広東語の場合「奧巴馬」がかなり原音に近いこともあらうか。早晩に西湾河。電影資料館。1962年の映画「横掃江南七霸天」(大小黄天霸)見る。当時、所謂カンフーの武術指導する中國戲劇學院あり(1959〜1976)貧しい家庭に育つ子どもらが集められ于占元の指導に武術学び「七福神」は言はゞ越後獅子で数十名の弟子筋から機敏な子ら七人集め遊園地やナイトクラブなどで軽業など藝をば披露するが映画界に進出が一大転機。洪金寶、成龍、元彪らその後、香港カンフー映画で隆盛誇ることになる役者の多くにこの学院からの出自。子どもらは師の名から「元」の字をば授けられこの映画「黄掃江南七霸天」での七福神は元甫(李菊華)、元龍(洪金寶)、元庭(吳明才)、元泰、元華、元樓(成龍=ジャッキー•チェン)、元文(孟元文)。ジャッキー•チェンの機敏さ殊更目立つがコミカルでオッチョコチョイの三枚目役で洪金寶が目はぱつちり鼻筋の通つた紅顔の美少年。この学院の創立から五十年での映画特集。昨日のSCMP紙の特集記事でジャッキー=チェン、洪金寶、元彪らが答へるに訓練はかなり厳しく間違へれば叩かれ自分以外の徒弟が間違へても連帯責任で始終、他の演者の動きを気にする癖が身に付いた、と言ふ。電影資料館に来た際にすつかりアタシらの食堂と化してゐる二記海鮮酒店に夕食。寒くなり鍋をつゝく客多し。江南魚腐鍋と咕嚕肉(酢豚)。咕嚕肉は唯靈先生が昨日だか信報の随筆に書いてをり二記では食したこともなくメニューにもない咕嚕肉をば註文するとなか/\の味。帰宅して昨晩、跑馬地競馬場で開催されたSwire Symphony Under The Starsの録音放送を聴く。香港交響楽団で指揮はPerry So君。まぁ賑やかな競馬場の内馬場は飲食自由で踊らうが寝転がらうが、の自由。ヨハン=シュトラウス II の「かうもり」序曲、サラサーテの「カルメン」幻想曲、鮑元愷「小河淌水」、コルサコフの西班牙綺想曲、朱踐耳“Festival Overture”、ラベルのツィガーヌは提琴に黃蒙拉、ボロディンイーゴリ公」、で最後はチャイコフスキー1812年序曲と、よくぞ、こゝまで愉快な曲を集めたね、と楽しさう。
蘋果日報の随筆で倪匡さんが「萬人空巷看奇景」と書いてゐるのは陕西省榆林市での「公捕大会」。中国では極悪とされた犯罪人の公開処刑や法治意識高揚のための公開裁判などあるが逮捕の現場、といつても容疑者泳がせておいてお縄の現場が設定できるはずもなく捕まへといた容疑者に逮捕状読み上げ正式に逮捕する現場を、市民の皆さんにお見せしませう、の場。倪匡さんの指摘末までもなく逮捕はあくまで犯罪容疑者であり容疑の段階でかうした見せしめすることの酷さ。法治概念の闕如といへば数日前に香港であつた会合で在香港の中聯弁の何某氏が三権分立に触れ司法独立もよいが国がする裁判なのだから司法が国家の立場を弁へたものであるべき云々と宣はれ、その場に居合はせた元司法司司長の梁愛詩もさすがに親北京派で行政長官の意向で超法規的措置も辞さぬ方ながら、その司法独立脅かす発言には婉曲に否定的見解述べたさうな。

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