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十一月十二日（木）来客あり昼に銅鑼湾の「とん吉」。正午の開店まで一切電話も通じぬどころか正午の開店も五分遅れ、でかなりの強気商売。昨晩、Ｋ君が偶然に「好物はトンカツ」と言つてゐたが彼がかつて倫敦から東京に数ヶ月遊学の折に青山に住まひ神宮前のさすが本店の「まひ泉」のトンカツが美味かつた、と宣はれてゐたが「とん吉」のトンカツも日本ならけつこうよくあるトンカツだらうが香港では行列出来る繁昌で二人でHK$380也。燈刻に雨。晩に中環。FCCに夏前に尖沙咀の鮨見城にお誘ひいたゞいてしまつたＳ氏お招き。伊太利はValpolicellaのAllegrini（www.allegrini.it）の葡萄酒試飲会。気楽な試飲会想像のつもりだつたがちやんと着座しての説明聞きながらの試飲で皆さん飲むといふより香り嗅ぎちよつと口唇濡らす程度でメモをとるのに熱心。Valpolicellaの地名はワインセラー（cella）がたくさん（poli）ある谷（val）なのださうな。食後、メインダインでビフテキ食しKillikanoonのKillerman's run 05年（Shiraz）飲む。地下のジャズバーでマッカランの18年飲み更に銅鑼湾に往きバーＳでハイボール一杯。Ｓ氏送りまだ地下鉄のある時間でバーＹでハイボール一杯飲み帰宅。


▼十一月初旬に綴つた「拔萃校友報師恩 給好校長一個家」。拔萃男学院（ディセッションボーイズヽクール）の老校長と卒業生の美談。本日の蘋果日報に続報あり。その記事ぢたひは清水湾に老校長余生送るその家を買ひ与へたのは誰かつて美談だが添へられた写真は老教師若き頃に「学校の女性教師たちと一緒に」とキャプションあり。これつて先日の報道では「独身だつたがガールフレンドもゐた」と同じ写真。蘋果日報がまつたく意識してゐないで写真を適当に使つてゐるのか、もともと拔萃の創立百四十周年の提灯記事なので同僚をガールフレンドとしてしまつたことへのさりげない訂正なのか、あるいはロラン＝バルト的には「独身でガールフレンドがゐたことはなかつた」といふ事実を意味語る婉曲な表現なのかしら。
▼本日、天皇陛下即位廿周年祝ふ政府主催の紀念式典。昨日両陛下、記者会見にて記者が日本の将来について尋ねると陛下は「私がむしろ心配なのは、次第に過去の歴史が忘れさられていくのではないかといふことです」とお述べになられたが朝日新聞はこれ今朝の朝刊の見出しにしたが読売新聞はこの「歴史が忘れさられてゆくこと」発言は記者会見要旨にあるだけで、このご発言に一切言及せず無視扱ひ。
▼「東京五輪再挑戦のわけ」と朝日がオピニオン欄で東京都知事石原君にインタビュー掲載。石原君の五輪開催は新銀行だの負の成績を払拭するフィナーレであり（五輪本願）、新聞が本来、彼に問ふべきは岩波の『世界』の特集のやうに彼の負の面であるはずが都知事前に終始一貫、五輪の夢語らせるだけ、で報道に値せず。
▼香港の財政界も「お手盛り」なら今度はキャセイパシフィック航空で十年前に待遇不服としてストライキ実行などして解雇された機長ら49名のうち18名が不当解雇として会社訴へ香港高裁は会社側に不当な名誉毀損などあつたとして機長側が勝訴。慰藉料は一機長あたりHK$330萬＋なんだか、で会社側の負担はHK$5.8千萬。専業の機長にとつては年収数年分で不服だらうが元々の高給考へれば巷の民草には何ら関係もなき話。

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