十月廿八日(水)朝から沙頭角に近きところに用事あり昼に粉嶺聯和墟。同行の諸氏と自動車の車窓から眺むれば「開いてて幸甚」のジャズラーメンは当然のやうに休みで「また次の機会に」といふことで客家料理の新漢記に食す。晩も銅鑼湾で独り裡路の茶餐庁に食す。インドネシア総領事館の裏手で此処にはかつてかなり本格的な印尼料理の軽食堂あつた記憶あり。今でも印尼系の食料雑貨店二軒並ぶが食堂は見当たらず。この茶餐庁の場所がかつての其処かも。晩遅く帰宅して山口瞳『行きつけの店』読み返す。先日、瞳氏のご子息の『山口瞳の行きつけの店』読み、ふと本編を読んでみようと思ひ、さすがに『洋酒天国』に連載の当時は読んでをらぬが今あらためて、この『行きつけの』を読むと一言で云へば「つまらない」と思ふ。荷風散人の日剰と同じく壮大なフィクション。荷風散人は少なくともそのフィクションをば書き貯めただけで人生終へてみせたが瞳さんはリアルタイムでフィクションを書いたから嘘つき。そりや銀座の鉢巻岡田に始まり、この銀座の江戸流れの小粋な酒場で岩波書店の小林勇会長が縁台で飲んでゐると思へばカウンターには中野好夫、奥から吉田健一の高笑ひが聞こえ六代目も来る、そんな場に居合はせたのは事実だらう。だが蔵前の相撲の千秋楽の帰りに高橋義孝に従ひ並木の薮で酒を飲み蕎麦を喰らふのは勝手だが義孝先生の流儀でアタシが理解出来ないのは、夏は天ぷらの、冬になれば鴨南蛮を「ヌキ」で食べること。鴨南蛮を蕎麦屋で蕎麦を抜いて鴨汁だけで食すことの滑稽。汁物で酒を飲むのが美味いのは事実。だが鴨南ならマダしも天ぷらが蕎麦汁の中でふやけてゐるのゝどこが美味いのか、久が原のT君にもアタシにも全く理解出来ない。山口瞳のご子息が書いてゐるが父を真似て並木の薮で、この「ヌキ」を頼んだら仲居に「その俗物根性を見透かされてしまつたやうで」仲居に「はい/\、でも、お蕎麦も半分ぐらゐ入れませうね」と言はれ、後ろを振り向ひた仲居に小さな声で「どうせ食べるんだから」と云はれた、と。アタシはこれを読みこの仲居の振る舞ひの達観に見事、と思つたが、所詮、蕎麦屋で「ヌキ」を頼むやうな野暮。山口瞳はこの並木の薮で馬生師匠が昼から一杯ひつかける場に同じ卓に面と向か
「爆炸」一刻,觀眾笑著疏散,另一批人則扮暈待救。 |
▼昨日四日ぶりに仕事に復帰の行政長官文革曾。省エネ蛍光灯やリーマン損失補填での親族優遇疑惑につきマスコミの報道が不正確で意図的なものと言及せば「言論自由妨害」と叩かれ不憫といへば不憫。北京中央は前任の行政長官董建華更迭の過去あり文革曾は絶対に失脚させるわけにはいかず、の無間道。
▼十二月に香港で開催の東アジア競技大会に向け試合会場でサリン拡散などテロが妨害活動した場合に備へて、の大規模な予行演習。行政長官文革曾までご来臨。被害者役の若者が倒れてみせて遊ぶなか警察や消防が救援活動ごつこ。風が吹けば桶屋が儲かる、でテロがゐるおかげで治安部隊も仕事があつて世の中、平和か。
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