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十月二十日（火）フィリピン沖の颱風の影響かしら不穏な天気。日暮れもだいぶ早くなりぬ。気がつけば今季初のハーフマラソンまで半月余。慌てゝ夕食前に小一時間ヴィクトリアハーバー岸を走る。iTune StoreでSheila JordanのPortrait of Sheilaを見つける。いぜんチェックした時はSheilaの曲は一曲もなかつたのに。それでもアタシの好きな“My Favorite Things”のアルバムがないのが残念。高校生の頃に昼に学校を上履きのまゝ塀を乗り越えて抜け出し親友のＫ君と近くのジャズ喫茶に耽りハイライト燻らせメローが昼時を過ごしてゐた頃。ロメインといふ名のそのジャズ喫茶の、Jim Hallの“Romain”が名の由来かしら、とふ／＼尋ねてもをらず、女将が好きでいつもかけてゐたのが“My Favorite Things”なのだつた。このPortraitのアルバムで“Dat Dare”聴き十七歳の頃を思ひ出す。

近百位內地老右派和學者聚會追念林希翎。

Deccaで昨年九月のサイトウキネンの松本での実況録音、小沢征爾のマーラーの一番も入手して聴く。征爾さんにとつて実に二十年ぶりのマーラーの一番。二十年前にボストンのこのLPを発売と同時に買つてゐた。この人らしく「こゝでそんなテンポになる？」が何カ所も面白く二楽章なんて実にきれい。だがアタシはサイトウキネンはあまりにも上手すぎて音がきれいすぎてちよつと芸風が合はない。上手なオケも音がきれなオケもいくらでもあるが、どこか良くも悪くもクセがあり、それがそのオケらしさなのだが耳が悪いの鴨しれぬがサイトウキネンはアタシはそのクセが感じられない。
▼中共から右派とレッテル貼られた最重量の人物、林希翎女史が先月仏蘭西で逝去。林希翎女史は1935年に上海に生まれ17歳で人民大学法律系に進む穎才。在学中に百家争鳴で北京大学、人民大学で中共に対して歯に衣を着せぬ発言を行ひ1957年に反右派闘争始まると毛澤東も一目置く？「大学生中的大右派」と称され反革命罪で十五年の実刑。1973年に出獄し浙江省の工場で働かされるなか三度び上京し名誉恢復も止めたが認められず。1983年に香港に出境認められ数ヶ月滞在ののち仏蘭西に移住。不能落葉帰根。北京で中共中央党校の杜光•元教授や国務院制作研究室の姚監復•前研究員ら旧知の知識人らが一昨日、林希翎の追悼集会開催しようとしたところ公安は三里屯のその会場となつたホテルの水電供給を止めホテルを営業停止として追悼集会の開催を阻止。近隣のホテルも水電修理を理由にこの集会が移るのを公安は必死に防禦の由。
▼日本郵政の西川社長辞任。反民営化で自民党離党の亀井静香君が担当大臣にならうとは小泉三世も西川氏も思はなかつただらうが、この社長に何の責任があらうか。根本的な責任は小泉三世の痴政に郵政選挙で加担の国民。都政でいへば青島に一票を投じ石原に後継を託し小泉郵政で自民党支援し今年八月の総選挙で民主党に入れてしまふ、思慮浅き有権者の四割くらゐの方々だらう。十人に四人くらゐ、かうした国政をば動かすキャンチングボード握る多数派がゐると思ふと恐ろしい限り。

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