富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-10-17

十月十七日(土)昨夜寝たのが半夜三更、それが四時には眠れず起きちまつた。雑事済ませ茶を煎れホンマタカシ『たのしい写真』読む。「楽しくない」と一昨日書いたが「可笑しい」意味での楽しさはないがアルプス山中と知床での寅彦との出会ひなど読み物としては面白い。秋恒例でヴィクトリアピークにお住まひの某氏邸にてガーデンパーティありZ嬢と末席を汚す。午後遅く銅鑼湾で打合せ帰宅してジンリッキー二杯。晩に湯豆腐を煮て食す。先週日曜日に日暮里で再会のS従兄より京都とりの携帯のメール貰ふ。小学生の時に二人で旅して下榻の東山ユースホステルの門前の画像送られる。

▼「フォークル加藤和彦さん激動の人生」と日刊スポーツ。あまりの見出しの陳腐さに言葉もなし。やはりゐろ/\思ふところありフォークルの「紀元貳阡年」を聞く。今日このアルバムをかけた方も少なくなからうが「おらは死んじまつただ」は洒落にならず。この曲が流行した当時、何の歌謡番組だつただらう、今にして思へばミュージックビデオの先駆であつたがフォークル本人たちがテレビ出演しない代替として人形使つた画像が流れ、あれはシャボン玉ホリデーのやうな番組だつたが鮮烈な記憶あり。この「紀元貳阡年」の最後の曲「何のために」を今まであまり意識してゐなかつたが
何のために 何を求めて 傷つきつかれ 年老いて死ぬのか
よごれた顔に ほほえみうかべ 男はやがて 息絶えた
と、あまりに意味深。2002年のNHKホールでの新結成紀念解散音楽會のCDも聞く。「新結成」と云へば新結成だが元祖フォークルがありながら「はしだのりひこ」抜きで新結成と嘯いたことにアタシは釈然とせぬものあり。このコンサートの澤瀉屋の張りのある口上の声色も今となつては懐かしいかぎり。この口上の時の白塗りの加藤和彦は下手な歌舞伎役者よりずつと端正な役者顔。サディスティックミカバンドの「黒船」も聴く。LPとCDの同じ作品で両方がいま手許にあるなんて、フォークルとミカバンドの他、陽水、ディラン、ボブ=マーリー、バンドではピンクフロイドツェッペリンビートルズなどほんと数少ない。ヒトは自殺といふ何だかよくわからぬ手段があるからヒトなのであつて誰もいつ突然、このヘンな手段を選ぶのか時限爆弾か核爆弾か、それを抱いて生きてゐるのだらう。それにしても清志郎のやうに生きたくても死んでしまふヒトもゐるのだから自殺はやつぱり生きたくても生きられぬヒトたちには失礼。最後に、「悲しくてやりきれない」の曲だが、やつぱり坂崎さんのボーカルで始まるもの(新結成解散紀念)もきれいだが「紀元貳阡年」のイントロからメンバーのユニゾンで歌ひ始める、そつちの方がアタシにはありがたい。新結成紀念解散紀念でイムジン河を歌ひ終はつたあと「ありがたう、生きてて良かつたですね」と言つてゐるではないか。やはり死んではいけないだらう。
▼行政長官文革曾が環境対策として白熱灯から省エネ型蛍光灯への買ひ替へ呼びかけ香港の全世帯にHK$100の省エネ型蛍光灯購入可の商品券贈呈と宣つたが香港で省エネ型蛍光灯をば商ひする大手の経営者が文革曾長男の嫁の父親ださうで「利益衝突」と文革曾をば批難の声高まる。アタシはあの省エネ型蛍光灯の白けた明かりの具合が大嫌ひ。子どもの頃から暗めの白熱灯を愛用。白熱灯が問題なのではなく香港はバカに明るすぎる照明こそ問題なのでは?

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