富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月晦日(水)ずつと愚図ついた天気が夕方より盥ひつくり返したやうに豪雨。びつしより。週明けからかなり多忙続き疲労困憊。ちよつと感冒つぽく味の素のアミノギア飲み遅晩まで踏ん張る。蔡瀾「飲酒抽煙不運動的蔡瀾」やうやく読了。

▼香港投資業界の鬼つ子、[http://webb-site.com/:title=David M. Webb]氏が明日の国慶を前にブログで叫ぶ。
Tomorrow China celebrates 60 years of one-party authoritarian rule; oppression of free speech, debate, freedom of assembly and political opposition; and state control of the media, judiciary and most of the economy. In the second 30 years the Government has tried to make up for the disastrous economic mismanagement of the first 30, but proceeding on the erroneous assumption that they can have all the benefits of free markets without the fundamental rights of a free society. Not a lot to celebrate really. What would the world look like if China had taken the path of civil liberties, capitalism and democratic government in 1949? That's something to ponder as the tanks roll symbolically through Tiananmen Square tomorrow, reminding us who is in charge.
▼香港金融管理局の皇帝陛下=総裁、Joseph Yamが光栄退休。世界の中央銀行総裁で最も厚遇の年俸HK$11.93百万(1.5億円)は欧州銀行総裁の三倍、日銀総裁の四倍強。でPeg制で守られるなか潤澤な公金で投資業務で慥かに多少は儲け、アトは変なHK$10の補助貨幣デザインしたり、つまらぬエッセイ執筆したり、のやりたい放題。近い将来、北京にて中央銀行の外貨管理業務に就任といふ噂もあり。
▼ドナルド=キーン翁が「永井荷風さんに会つた時、荷風散人が実にきれいな日本語で話をするのに感動しましたが、どんな言葉で何を話したか、日記をつけておけばよかつた」と嘆く(朝日)。そりや散人の語る言葉が聴けたら。NHKで[http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10002200090212120030174/:title=荷風が読む断腸亭日剰の録音]も聞き逃してをり残念なかぎり。
▼首相動静眺めてたら鳩山四世が昨夕、恵比寿の「さいき」へ。官房副長官が電通の佐藤尚之氏を招いた由。吉行淳之介やヨシモト先生らの坐した二階の座敷でだらうが常連のK氏やT氏もさぞや驚いたらうし「首相が行つた店」でまた有名(つてもう十分有名だが)になるのかしら。自民党的な料亭路線の排除か気軽に飾らない食肆やモスバーガーなど訪れてみせる鳩山四世。それにしても「さいき」で更に社会党時代が懐かしい仙谷由人君、文部副大臣、衆院議院運営委員長まで合流し、さいきの二階の狭い座敷で、どうかしら。隣の小部屋にはSPが待機したさうで、ごくらうさまなこつた。で、この会合、[http://www.satonao.com/archives/2009/09/post_2718.html:title=電通佐藤氏によれば]、どういふわけか火星儀が出てきて火星談義、つて、自民党の料亭の密談より摩訶不思議。
▼李怡さんが明日の国慶節をひかへ中国々歌の歌詞から「中華民族到了最危險的時候」と題して語る。国家成立の周年がなぜ平和裡に祝へず閲兵なるのか、は国家は<暴力装置>に他ならぬからだが、中国のそれは「人民共和国」ではなく「軍国」、「以民為本」でなく「暴力為本」だらう。国慶で北京は厳戒態勢となり首都訪問の客をば駆逐しテロや爆弾に怯え、これはまさに「中華民族到了最危險的時候」。中共の官僚の腐敗は集団化、組織化、市場化、暴力団化。湖南省郴州では贈賄は県委書記、公安局長、政法委書記の200萬元から県レベルの検察長、県政府弁の主任の20萬元と賄賂の市場価格まで存在の由。このテの汚職市場化は實際上半ば合法化、半公開で体制の一部となる。「以法治國」「以徳治國」といふ言葉の欺瞞、事実は「以腐治國」だらう。国家にとつて最も困難な時節は列強の侵掠でなく「専権政治と民族自身の內耗」にあるのだ、と李怡先生の警告。

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