富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-08-18

八月十八日(火)この旅寓のカフェレストランの名前がBela Vistaと云ふ。西湾にかつてHotel Bela Vistaといふそれはそれは優雅なホテルあり。マカオの中国返還後それが葡萄牙の在マカオ総領事公邸になつてゐるのだから(マカオぴあ編輯長日記参照)、それくらゐ格式ある建物。そのホテルの運営を任されてゐたのがマンダリンオリエンタル。それが謂れでBela Vistaの名をこのホテルのカフェに残したのでせう。Hotel Bela Vistaは部屋が僅か八室で内七室が套房でアタシらも一度だけ宿泊。バルコニーの広いレストランが心地よく其処は何度も食す。このカフェは当時を知る者には懐かしさ込上げるほど雰囲気から調度品まで当時を再現。ちなみにマンダリンオリエンタルはマカオから撤退ではなく外港新填海區(NAPE)のOne Centralに新規開業の由。朝から屋外のスパに憩ふ。Sandsの賭場から朝の八時、九時に出てくる賭客を眺める。賭事せぬアタシらにとつては徹夜で賭事はどれだけドロ/\か想像も能はず。ホテルの裏から歩いて五分のマカオ藝術博物館。Uma Viagem através da Luz e da Sombra – A Invenção da Fotografia e as Primeiras Fotografias de Macau(凝光擷影ー攝影術的發明暨中國澳門老照片)といふ特別展あり19世紀から20世紀前半のマカオの生活風景写した写真展あり。またBairros de Macau(澳門隣里)といふ陳顯耀によるマカオの伝統的な、そして近い将来には後継者もなく消えてしまふであらう市井の古き廛補や街頭での商売営む町人写真展が圧巻。たゞの記録写真でなく構図が極めて見事(作品例)。ホテルに戻りチェックアウト。路線バス待つがなか/\来ないのでタクシーでタイパ區。Castiçoなる、いぜん偶然にパン購ひ、それから一度食してみようと思つてゐた小さな食肆に昼餉。当り。蛸飯、牛雑と豆の煮込み。タクシーでPousada de São Tiagoに投宿。マカオでは由緒ある隠れ家的旅寓は一昨年だつたか一年くらゐ休業して24室だかの客室を半減して全室套房(Suites)に。内装がちよつとモダン過ぎで合板材、新建材目立つかしら。バスルームはジャグジー、シャワーはスチームサウナ機能つきで優に客室一つとれる大きさは立派。小さなプールの木陰で午睡、讀書。夕方、ホテル出て裏手の西望洋山に上がる。といつても標高は海抜50mくらゐ。マカオの超高級住宅地で警察の詰め所もいくつかあり。富豪住宅は「此処にしかない」わけで初代、二代目の行政長官含む澳門五大家族もスタンレー=ホー氏の澳門の屋敷も葡僑の富裕層もみなこの界隈の住人なのだらう。いつも遠くから眺めるばかりの西望洋聖堂(主教府)拝し市中心の方に下る。猫空間に立ち寄り小猫を愛で何東図書館の中庭に憩ふ。昏刻にアタシの好きな關前正路界隈漫歩。どの廛補もだいぶ店終ゐが早いな、と思つてゐたら十月初五日街で黄枝記も今晩と明晩が連休。盂蘭盆はまだだしどうしたのかしら。夕餉は軽く済ませたく昨晩はアタシ一人で雲呑麺食した祥記麺家。咖喱牛腩と炸餃子で麦酒飲み蝦子撈麺食す。杏香園に甘味。路線バスで旅寓に戻る。何だか感冒気味。昨晩は冷房消して寝たつもりが夜半に薄ら寒し。解熱剤服し早寝。
▼人民日報の記者が七月初旬に香港で開催の新聞記者のコンファレンスに参加。その前日、七一デモに個人的に参加したところ北京にて当局より証拠写真を見せられ行政機関公務員処分条例に違反と告げられ香港に脱出し米国総領事館などに政治亡命の庇護求めるが拒まれ旅居の身の由。法律とは権利擁護とその剥奪の規則あつて天秤となると思ふのだが最初から「処分条例」つてのも怖いかぎり。
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