富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-08-17

八月十七日(月)昨晩は珍しく二時過ぎに床につきあまり眠れぬ壗に曉を覚える。朝九時のジェットフォイルマカオ。往復の航路と宿泊のパッケージでマンダリンオリエンタルマカオを予約。波止場でホテル差し向かへのシャトルバスを待つが一向に来る気配なく二度もホテルに電話するが二度目の電話でホテルがGrand Lapa Macauと改称したこと知らされ、それならさつきシャトルバスあり。ホテルにつき話を聞けば「運営はマンダリンオリエンタルのまゝ」だが今月朔日に名称変更の由。かつてはマカオ有数の高級ホテルで沿岸から眺める湾岸の夕焼けも美しかつたが400米も埋立が進み風水も悪くなつたか、埋立地スパリゾート拡充するなど努力もしたが競合ホテルも増え隣にSandsが出来て埋もれた感あり。どこか内地の投資会社に売却でオペレーションだけ引き受けかしら。それはいゝけど電話でホテル名聞き取れず「マンダリンオリエンタル?」と尋ねると「さうです」と答へ波止場からのシャトルバスの確認なのだから「ホテルの名称が変はつてをりますので」くらゐ客に伝へるべきでは?とチェックインの際に職員に伝へる。荷物だけ置き路線バスでタイパ。茹だるやうな暑さ。かつて路環のRestaurante Espaço Lisboaにいらしたアントニオ厨師が自らの名で一昨年だかに開業の食肆に昼餉。驚くなかれ狭い肆にアタシらの他、日本人の団体客八名ともう一組の男女も日本人。皆さん二時間近く昼を楽しむやうな方ばかりでアントニオ師は大いに満足か。タイヤ屋の本(とミシュランをZ嬢はさう呼ぶ)に★はつかぬが載つたらしく値づけもかなり強気。ヴィーノベルデ一本と白ワイン半瓶でかなり良い気分で路線バスで宿に戻る。プールサイドとスパで微睡みつゝ吉田健一『酒肴酒』讀む。スパのシャワーは別としてサウナやスパ範囲は「十六歳以下お断り」とするのはホテルの見識。アタシが折角気持ちよく吉田健一を讀んでゐるつてのに健一さん本人は「旅行してゐる時に本や雑誌を讀むの程、愚の骨頂はない」なんて言つてゐる。で本人は列車の中からずつと呑みつ放し。酒を飲んで寝て朝起きて蒲団の中で麦酒をぐぐつと飲んで喉の渇きを癒し朝餉から向ひ酒が始まるから大したもの。「しなくてもいゝことをする機会が幾らでもあるから、旅は楽しい」つてそりやさうだらう。晩、暗くなるのを待ち出街。それでも暑くて汗だく。新口岸からリスボアホテルの方に歩く。香港もさうなんだけどマカオも上海街つて通りはなぜ風俗街なのかしら。昼はカメラに50mmでもf2.0のズミクロンをつけてゐたが晩を待つたのはf1.1のノクトンを使つてみたいからに他ならない。おーつ、リスボアカジノのネオンなんて明るすぎてISO400のフィルムで1/1000秒でもf2.4くらゐにしかならない。かなり暗いと思ふところで1/125秒くらゐでシャッターを切れるつて何だ、こりや?である。今日の澳門日報は昨日23萬人が来澳で内10萬人が珠海からと伝へてゐたが、その割には晩の七時過ぎには栗鼠ボアからセナド広場はあまり人出多く思へず。日帰り、或いは宿泊は経費節約で珠海つてのが多いのかしら。昼に澤山食べたので晩は祥記麺家で小ぶりの雲呑麺一杯のみ。路線バスで宿に戻り健一さんのつゞき讀む。

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富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/

酒肴酒 (光文社文庫)

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