富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-07-31

七月卅一日(金)株洲は京広線、滬昆線、浙贛線が交はる鉄路交通の要所。こゝから列車は東に折れ江西省を東に走る。日の出に目覚める。晴。豊かな穀倉地帯なのだらう、立派な家造りの農家。通りすぎる驛の名を地図で追へば列車はすでに江西省の東端れに近い。南にあと7、80kmで武夷山の黄崗山(2,158m)が拝めるのだがあいにく朝霧の向ふ。浙江省に入り金華(金華西站)に朝八時。杭州抜け定刻より十五分遅れで十時半前に上海站著。株洲と金華西の停車は客の上降車なく上海で香港からの客が入境手続き。驟雨。十数年ぶりの上海。かつて「えつ、これが上海の驛?」と驚くほどこじんまりとしてゐた驛舎も建て直され驛前には商業ビルが建ち並ぶ。中国最大の商業都市なのだからかうで当たり前なのだらうが。軟席候車室で一時間余の乗り換へ待ち。ネットが繋がりしかもPCCWだとかNTT Docomoだとか海外の契約も選べる。PCCWはHK$1/minは有り難いが速度があまりに遅い。昼過ぎの動車(和諧号)で蘇州に向ふ。南京行きの十六両編成で先頭車輛の一等車一列目の席だつたが車掌ら数名が寛いでをり「こゝはアタシらの席だから空けろ!」と切符見せるまで立ちもせず。「売れてたのか」と面倒くささうに立つたが棚に荷物は帽子は置きつ放し。アタシらに通路反対側に荷物を置け、と促すので「どかせ」と首で合図して「こつちは客だらう」と諭して荷物をどかさせる。車掌らは運転席との間の通路でしやがむで飯を喰ひ雑談が五月蝿く禁煙の車輛でタバコ臭いのはどうも運転席からのやう。これで時速198kmで気軽といふか安易といふか。列車の車掌といへば日本の新幹線でアタシは今でも覚えてゐるが中学の修学旅行の復路で乗り合はせた専用列車に岡田車掌長が乗務してゐたのだ。鉄道好きには鉄道関係の記事や雑誌のインタビューなどに登場する新幹線開業以来の名物車掌。でグリーン車(修学旅行なので空車)横の車掌室に岡田氏を鉄道好きのO君と尋ねると「修学旅行列車は車掌の業務が少ないからいゝよ」と気さくに中学生對手の話に応じてくれ豊橋から新横浜くらまでずつと思ひ出話や逸話など語つて聞かせてくれた。閑話休題。艮山に途中一つ止まり蘇州まで上海からわづか40数分。蘇州の気温は摂氏23度と涼しく昨日は大雨で太湖の水嵩が警戒水域の3.5mを超え蘇州城内も水害。上海は130mm越える七十年来だかの大雨だつたた由。蘇州站にI君が迎へに来てくれタクシーでホテルへ。千将路のグロリアプラザホテル投宿。I君と観前街の朱鴻興麺家館に遅めの昼を食す。I君と別れZ嬢と裡町漫ろ歩き水路沿ひの平江路。蘇州観光のメッカたる水路だが東側はすつかり観光化され西側は住民の生活がそのまゝ。午後遅くホテルに戻る。ネットも繋がり無料だしスピードも入りが9.42mbs、出が13.03mbsと充分だがyoutubeもwww.fookpaktsuen.comのあるtripodも繋がらず、が中国。NHKのBSの「アジアクロスロード」なる番組放映を看る。「中国 反骨のアーテイスト アイ・ウエイ・ウエイさん」と森美術館での個展のため来日してゐる艾未未がゲスト。反体制で現在は米国で活動中の藝術家は中国の成長の影での自由や人権の抑圧などに言及。幼い頃に12年暮したウイグルの問題も尋ねる。いつ中国でこの放送が途切れるか、と期待?したが最後まで中断されず。天安門事件法輪功ウイグルチベットと「わかりやすい」と干渉されるが艾未未といふ反体制家が登場し同時通訳で日本語になつてゐれば「現在の中国は独裁国家共産党政府の専制が續ゐてゐるわけですが」と語つても引つかゝらないらしい。森美術館艾未未の個展開催で上海での森ビルの都市開発は問題ないのかしら。やはり画像なのだらう、問題は。早晩に路線バスで城内を出て東の園區へ。圓區は蘇州工業圓區の略で工業区といふが緑多きなかに城内にはない高層ビル立ち並ぶ。シンガポール政府との合辧での開発の由。Blue Marineなる外国人、殊に独逸人多きパブでI君夫妻と待ち合はせ独逸麦酒飲む。蘇州は独逸企業の進出多いのださうな。バンコクY夫妻が上海に夕方着いてバスで来蘇。バス降りて駆けつけてくれ圓區の巴蜀傳香なる四川料理屋に皆で食す。五粮液飲む。

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