富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-07-15

七月十五日(水)Happy Valleyのケーキ屋Zoëの前を通りかゝり「暑いからケーキでも食べませう」とチョコレートチーズケーキ購つてゐたら店の外にZ嬢。しつかり「隠れケーキ」見つかつてしまふ。日傘をさしたZ嬢の窓越しの引きつッた微笑み。晩に尖沙咀東。徠卡屋(ライカ扱ふカメラ屋)数軒冷やかして「酒処ほかほか」。盤谷Y氏、Z嬢。この酒処、何度も通りかゝつてはゐたが初めて。ちやうど開業七周年で今日がその日。この三日間は焼酎(名前失念)飲み放題で鮨のにぎりが半額。一見さんでお祝ひの恩恵に与つて良いのかしら。従業員が気さくでサービス満点。煮物焼物の小料理が美味。食後に百年ぶりにDFSギャラリア「免税」店。某君へのお祝ひに近々買ふ予定のシャンペンの相場はいくら?と調べに行つたら此処は今はもう酒と煙草は扱つてをらず(かつてはこゝで買ひつけ済ませ空港で受け取る賣買あり)。
▼昨日の信報社説(新疆之亂與調整西部開發政策)曰く、中国が2000年一月に呈出の「西部大開発政策」は中国西域のインフラ整備と開発狙つたもので本来は西域人民に利益あるべきところ結果的に西部開発は大量の漢族の「西移」促し各地の少数民族は恩恵がないどころか寧ろ伝統的産業や生活の破壊で出稼ぎなど強ひられ所得格差や地域社会崩潰深まる。また同紙の練乙錚主筆が連載香島論叢でするは、1984年に全人代通過の民族区域自治法の第11条に「宗教団体と宗教事務は外国勢力の支配を受けない」と謳つてをり、事実上、民間の宗教団体が外国との自発的な宗教交流を截断したもの。これは香港基本法(第141条)の「香港特別行政区政府は宗教信仰の自由を制限せず、宗教団体の内部問題に介入せず、香港特別行政区の法律と觝触しない宗教活動を制限しない。(略)香港特別行政区の宗教団体と教徒は、その他の地方の宗教団体と教徒との関係を維持し、発展させることができる」とは対照的。この政府による規定がイスラム教など国家疆界越えた宗教世界にどう影響を及ぼすか、不満を高じるか、と。
▼香港の夏といへば湾仔の「書展」=図書市。連日著名著作人の講演やサイン会などあり。廿四日だかには池田大作先生も光臨の由。日本では池田先生をかう間近で拝すことも稀だらう。
▼香港の不動産広告のインチキには慣れてゐてもこゝ数日、李嘉誠財閥の長江実業が展開の聚合住宅:日出康城には嗤へた。場所は将軍澳工業邨の入り口。近くに地下鉄の将軍澳の車輛庫あり将来的に将軍澳線が延長は確実で交通はけして不便ではない。がこの日出康城の売り出しの広告ではマンション群の中のショッピングセンターに地下鉄高架線が乗り入れる「完成予想絵」があり、不動産の誇大広告当たり前の香港でもさすがに「これはひどすぎ」と嗤はれたのだが更にこの日出康城が可笑しいのは英語名はLohas Parkである。故・月本さんには悪いがLohasが環境だとか地球に優しいとしつゝ雑誌『ソトコト』がLohasで儲け企んだやうに実に商業的。でこのベッドタウン建設で工業団地の入り口といふ悪条件だから、つてんで敢へてLohas Parkと銘打ち、慥かに敷地内「は」緑化空間も多く(広告では約14万平米=敷地面積の四割=香港公園二つ分)、清水湾野外公園も近い、と(実際には本気でトレイルしないと辿りつけぬ)。だが周囲は香港でもかなり殺伐とした風景で、そこをLohas Parkと銘打ち賣買とは賣る方も買ふ方も哀しくないかしら。……後日談:翌日の信報にLohaStyleなる附録雑誌あり。このLohas Park賣り出し宣伝の提灯雑誌なり。
広東省東莞の私立高中=Secondary Schoolにて交通渋滞厭ふ学生が自家用のヘリコプターにて通学し校庭に下り立つ態の動画がネットに流れ話題に。本宮ひろ志俺の空』か『こち亀』の中川君のやうだが、東莞のこれは2007年の実話の由。安全上の問題で、と学校が資産家の父に子息のヘリコプター通学は遠慮願ふ。東莞では数名の学生がバスケットボールで賭け遊び百万元が動いた話もあるさうな。「特色ある社会主義」の考へられぬ資本家層の存在よ。

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