富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七月十日(金)猛暑。昨日までの快晴に比べ今日はかなり朧霧。お出かけの途中、昼に九龍城。創發潮州飯店に食す。暑さに一口呑みの烏龍の功夫茶。芋の例湯。蒸した赤鯛。梅菜扣肉。新界にゐたので夕方、上水に往き廣成冰室で紅豆冰頬張る。ぎん/\に冷房で寒くて、冷房なしで風でも抜けてゐれば冷たい紅豆冰がもつと美味しいのに。早晩に帰宅してドライマティーニならぬ殆どジンのロック二杯。ほとんど無風は颱風でも近隣にかしら、日暮れに紫芋のやうな靄がかゝる。順興潮汕鹵味の鹵水鴨、夏の野菜食し焼酎を飲む。
▼伊太利でのサミット終はり記者会見の首相麻生太郎君、役者や久米宏のやうな話芸は出来ぬにせよ口跡が拙い上に書かれた文章を敢へて自分の言葉のやうに読んで聞かせようとするから余計に無理がある。自分でも原稿讀んでゐてはいけない、と思つたのが途中ふと原稿から逸れて自分の言葉で喋らうとするが「えー、お会ひして会談いたしましたぁのはぁ〜」名を挙げる中で「カナダのハーバー大統領、インドのシン大統領……」と。英国の女王陛下が象徴的元首の国に大統領はをらぬ。自民党は党総裁の外遊中に皆さん言ひたい放題だが意外と「ポスト麻生の一人か?」と感心は石破君。荷風散人ならぬ小泉変人に抜擢の頃は単なるマザコン&軍オタと嗤つたが麻生君と同じく口跡拙いが先代の三平師匠のやうに口跡が悪いのをむしろ自分の個性と出来る芸風。昨年、自らの代表と押した人(麻生君)を一年もたゝぬうちに今度は引ずり下ろす自民党に誰が信用をおかうか、と苦言。
▼中環に鳴り物入りで三、四年前に出来たAIG TowerがAIA Centralに名称変更。AIGは世界的に印象悪く香港はAIG参加でもAIA保険会社が「香港は安定」謳ひたくAIG Towerも実質的には香港AIAが出資(慥か半分ほど)で。三菱東京UFJ銀行香港支店がこゝの店子なり。AIG本体といへば高層の職員40名にUS$240万の賞与支給を企図。相変はらず愚者の恥知らず也。高額報酬といへば香港の證券及先物取引取引監査委員会。昨年Leeman Brothers関連商品につき香港政府が保護されるべき末端投資者を蔑ろにしたと批難受け、その矢面に立たされたのがこの監査委。金融危機で香港の證券取引も打撃受けるなか監査委も収入が前年比で33.4%減、差益も48.4%減るなか役員報酬など増額し人件費が5.4%増。監査委のCEたるMartin Wheatleyなる男は年俸HK$8.2百万とは。
▼長徳先生の日記で荷風散人が自ら撮影された偏奇館室内の写真を見る。岩波書店から昭和十三年に発刊の「おもかげ」に廿四葉の写真ある由。偏奇館の室内の写真は特に良い、と長徳先生。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/