富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-07-06

七月六日(月)早晩に湾仔の李景粥品專家に鮮鯇魚骨粥食す。鯇魚はサウギヨ?、のアラを煮込み至極。洒落た老客が鯇魚の煮物と炸肉餠を肴に獨酌。粥屋なのに粥を食べないのが室町砂場で蕎麦を食べずに「ヌキ」で呑む高橋義孝先生のやうで素敵。アタシもまださういふ紳士に比べると青二才。アタシは、といへば魚のアラとかどうもきれいに食べきらないと気が済まず無心に凝つて骨をしやぶつてをり気づいたら晩の会合の時間近く慌てる始末。晩遅く帰宅してRobert Mondaviの葡萄酒の残り飲みアサヒカメラ七月号讀む。米高積遜の“Off the Wall”をあらためて滲み/\と聴く。CDでクレジットにこゝまで一曲一曲の演奏者の名前が記載されてゐるアルバムも珍しい。三十年前の当時は派手だと思つたアルバムもいまかうして聴くと落ち着いて聞こへるから。LPからテープに録音して出たばつかりのウォークマンで聴いてゐたなぁと思ひ出す。
深圳のディスコで公安のおクスリ関係の手入れ入り600人拘束され半数が香港からの遊び客の由(蘋果日報)。麻薬といふと中国に限らず極刑か?と思つたりもするが、さすがにK仔など当世気軽な錠剤系の疑ひくらゐでは留置所に留め置きで不起訴処分で香港に戻されるやうだが何錠もの所持や売買の疑ひあれば話は別。それにしても鄧小平の改革路線で深圳経済特区が作られ香港とのゲートが開き人の往来が盛んになりで1997年の中国返還を不安や期待などで迎へ……の中で香港の若者が気軽に深圳のディスコで消遊する未来など想像は易しからず。でも若者の深圳ディスコよかオヤヂたちの深圳での「二奶」=妾お囲ひの方がずつと早くから盛んか。いづれにせよディスコ摘発で尿検査の結果百数十人の香港からの遊び客におクスリの陽性反応出たさうで身柄拘束された由。
ウイグル(新疆)のウルムチ中共建国以来最大規模の民族騒乱。千数百名が逮捕され死者は百五十余名、負傷者八百人と聞く。中国にとつて政治的自由の制限なら経済成長でどうにか抑制できようが辺疆の民族問題は自治がタテマエで漢族主管の現実に異民族の鬱憤は想像以上。騒ぎがウルムチやラサならまだ統制も出来るだらうが中国政府にとつて怖いのは上海や北京などでの爆弾などテロ行為だらう。民主化や人権といつた政治的反政府・反革命行為の弾圧から、かうしたインティファーダ的行為対策の治安強化へ。前者が「思想犯」以外は拘束が及ばぬ(ように映る)のに比べ後者は米国のテロ対策と同じで全く関係のない市民にまで不自由が及ぶもの。で、それが「兇悪な反政府テロ組織」への憎悪となるかベクトルは対政府権力へと向ふか。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/

オフ・ザ・ウォール(紙ジャケット仕様)

オフ・ザ・ウォール(紙ジャケット仕様)