富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-07-07

閏五月十五。小暑。本日より超級市場や小売店など政府の環境保護政策の一環でビニール袋はHK$0.5の有償化。布袋は必携で風呂敷もよく使ふアタシはパナマ帽に風呂敷包み、で扇子ぱたぱたと本当にエコロジーな存在。小暑ならぬ酷暑。帰宅して冷房を嫌ひ「涼をとらう」とアルゲリッチ姐のラヴェルのピアノ協奏曲ト長調アバド&維納)を聴きドライマティーニ二杯。ピアノ練習。この夏はドビッシーの「亜麻色の髪の乙女」……無理だらうが。夕餉は胡瓜の糠漬け、茄子、湯通しした韮など夏の野菜、そして甲州の「ほうとう」を汗だくで食す、が南瓜だと甘くなるので牛蒡たつぷりの豚汁風。山口の旭酒造の「獺祭」四合。純米大吟醸は貰ひ物。晩に外に涼み十五夜の夏らしい小さな月を愛でる。
甲州の「ほうとう」。舊仮名遣ひのアタシも「ほうとう」は「はうたう」か「はうたふ」か「はふたふ」か……(このへんからは久が原のT君が詳しさうだが)業者のサイトで「ほうとう」は「饂飩(はくたく)」の音便、と説明あり。たゞ「饂飩」は音読みはまさに「うどん」で、饂飩を「はくたく」とは読めぬ、と思つて手許の古語辞典(岩波)で調べたら「餺飥」で、これなら確かに文字通り「はくたく」。が音便で「ほうとう」なら成程。
ウイグル騒乱。ウルムチで漢族住民が対原居民への抗議で棒やヌンチャクまで持つて市中練り歩き。「中国萬歳!」と叫び。怒つてゐさうだが新聞報道の写真よく見ると笑ひ顔も少なからず。「やらせ」ではなからうが、この機に及び憂さ晴らし、と思へてならず。警察公安も「ウイグル居民の暴動に反対する愛国デモ」は大目に見るだらう、で。G8出席のため伊太利入りの胡錦濤国家主席も急きよ帰国。注目集めたのはDunya Uyghur Qurultiyi世界ウイグル会議)で議長のラビア=カーディル女史、の顔はどこかで……と思へば太宰治でせう、この顔。ウイグルから津軽なのだ。
そのまんま東・宮崎県知事の自民党からの国会議員成り上がり計画。なんだか「目立ちたい」芸人根性に映る。コメディアンがシリアスになると、と「森繁さんも」とビートたけしが指摘してゐたがその北野武監督しかり東国原知事しかり。
▼最近アタシがよくわからぬのは臨床心理士の存在。例へば殺人など事件が起きたり大規模な自然災害の際に学校などにカウンセラーが派遣される。が明暦の大火とか大震災、大空襲でもそりや気の触れた人もゐようが市井の多くの人々は、子どもとて苦難も越え普通に生活する。しなければならぬ。が「精神障礙に陥りやすい」現代社会ではカウンセラーが要るといふ。乱歩の物語でせつかく少年が恐怖に戦慄いてゐる時に臨床心理士が登場してしまつたら明智小五郎怪人二十面相も出てくるのに白けてしまふだらう。アタシは「士」のつく對手に心情の吐露なんてとても恥づかしくて出来ぬだらうし、もし高校で同級生に殺傷事件がありカウンセラーが学校に来て講話なんてあつたら「放つといてくれ」と学校を抜け出して公園で一服でもしてゐるかしら。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番

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