富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七月五日(日)南澇北旱。廣西、江西は暴雨成災、桂林に往くも能はず山西省は二百五十日降雨なき旱魃で北京は摂氏四十度越える由。陋宅にて雑事片づけてゐると昼頃に甚雨。北角は絀興隆の煎窩貼と煎豬肉包を食して米国加州はRobert MondaviのSauv Bl(07年)飲む。意外と合ふ白ワインと鍋貼。午後に擦背と整体。早晩に天后。華姐清湯腩に腩河食し晶晶甜品で緑豆沙。天后の站で某博物館副館長のW君と通りがゝりにばつたり遭つたと思へば某銀行で十年ほど前にアタシの口座の担当で豪州に遊民してたT君も二年前に香港に戻つてたさうで邂逅、舊事を語る。一昨晩に續き中環の市大会堂。北京市河北梆子劇團の公演観る。折子戲で「呉漢殺妻」「寇准背鞜」と「杜十娘」。 「呉漢殺妻」は妻(王玉蓮)が亡き父の仇の娘と母に知らされた父の敵とまさか妻を殺せず夫の苦悩を察した妻が自害する、その葛藤を呉漢と玉蓮が唄ひ上げる梆子劇の逸品。「寇准背鞜」はまさに狂言、で「杜十娘」は書生の季甲に見受けされ廓を出た杜十娘がカネに目の眩んだ季甲から富商に売られ、季甲の故郷に帰る=嫁ぐはずの船上で季甲と富商の孫富を恨みつゝ揚子江に身を投げる話。梆子劇は一昨晩の演目はその歌謡ショー的な演出にちよつと閉口したが今晩の舞台は歌舞伎で綺堂先生あたりの明治の新作物、あるいは新派の演出だと思ふと入りやすく梆子劇独得のセリフまはしの妙、歌ひつぷりの良さなど面白いと感ずる。今年は香港でこれから秋まで梆子劇の公演少なからず。

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