富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-06-19

六月十九日(金)早朝から今日中に済ませねばならぬ仕立てしごと多し。文字通り息つく郤もなし。どうにか仕上がつたものメールで届け一旦帰宅し針箱など置いて早晩に西湾河。太安樓で基記水電工程の牛雑を一串立ち食ひと思つたら賣つてをらず。水電工程で牛雑賣ることが食品衛生署の指導でも入るのかしら他の屋台は営業してゐるのに。さういへば去年も夏の頃は終ゐ。流儀か。一つ筋違ひの屋台で牛丸串頬張る。美味い。がビニール袋に入つた煮る前の串に刺された牛丸が何十本も数時間そのへんに放つとかれるのを見ると暑いさなか「ちよつと危ない」と思ふ、新型流感よか、ずつと。それにこの周辺、最近は嘉亨灣だの逸濤灣だの沿岸の聚合住宅に住まふ日本人多く、太安樓界隈でおち/\汚い買ひ食ひも躊躇ふ。Z嬢の話では嘉亨灣、逸濤灣の邦人ご夫人方の間では太安樓の中を通り抜けられるか、買物が出来るか、が西湾河の「地元通」の度合ひなのださうな。其処で立ち食ひなど言語道断か。Z嬢と待ち合はせ二記飯店。この食肆も太安樓にあるがいつから揃ひの食肆のネーム入りのポロシャツなんて着るやうになつたの?、英語メニューまであり。相変はらず早い時間から満席。電影資料館で新藤兼人監督の「裸の島」観る。廿年ほど前にNHK放送センターの部外者禁の映像資料室で観たと記憶するが銀幕では初。この映画に今さら何を語らう哉。林光の音樂。独立プロダクションのこの映画が川喜多かし子の力もあり「1961年のソ連」でモスクワ映画祭でグランプリつてのが何とも素敵。この映画に社会主義リアリズムつてのが応へてしまつたのだらう。でもあらためて見るとマルクスといふよりウェーバー的。ソ連で思ひ出したが旧レニングラードサンクトペテルブルグを先日訪れたチヨートク先生、この「フィンランド湾に面した水の大都」を「まさに歐州を蒸溜したやうな露西亜の美都」と喩へていらつしやる。チヨートク先生はアタシがいたゞいたメールの中でマカオを「偽リスボン」なんて呼んでゐたが、それくらゐだと笑つてゐられるがサンクトペテルブルグを「歐州を蒸溜したやう」なんていはれてしまふと、もう「ほかにサンクトペテルブルグをどう喩へられるのかしら」と思ふ。そして上等の美味いウオトカが飲みたくなる。

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富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/

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