富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-05-26

五月廿六日(火)気まぐれに降る雨も午後には歇み久々の夕暮れ空にご祝儀と俄然、白葡萄酒が飲みたく陋宅に買い置き切れてをり帰りがけ超級市場に立ち寄れば冷蔵庫のやうに冷房のきいた店内で白葡萄酒はみんな飲みごろ(笑)。Jacob's Creekは日本でも1,000円ワインの定番の一つだらうがリースリング(08年)二本でHK$155、って一本900円くらひ。南半球の葡萄酒は香港の税撤廃もあり確実にお手頃。それを飲みながらチョートク先生のブログ読めば西班牙はマラガ旅行中の、それもモスクワ経由(笑)のチョートク先生、
パワーブックのACアダプターのショートで、使えなくなりました。小さい町、マラガでアダプターを捜索するより、ピカソミュージアムで傑作を見ている方が時間の使い方としては有効と思います。よって、日記の更新は日曜の昼に東京に到着してからになります。メール連絡もできませんので、関係方面にはご不便をおかけします。もうバッテリーの残量がないので、これが最後の通信です。
って羨ましいこの最後の伝令。最後の伝令、って(筒井康隆のぢゃございませんよ)エノケンの芝居、昭和6年のがありました。菊谷榮の原作。でチョートク先生のマラガ日記、同じEpson R-D1sなのにさすがプロ。この写真なんて、もういけません、見事すぎ。まるで自分が5月の陽光眩しいマラガにゐるやうな気分で冷たいリースリング飲みすつかり日暮れ前に酔ふ。夕食後あまり記憶なく二更のうちに寝臥。が半夜三更に番号非表示で来電、それですつかり目覚めてしまい今ごろ“Monocle”三月号読み睡眠薬服し二度寝。“Monocle”三月号は陽気なメキシコ特集。このあと墨西哥流感が流行ろうとは。
新型インフルエンザの「騒ぎ」終息宣言した、と思へば北朝鮮の核実験。新型インフルエンザが超微弱毒性なら北朝鮮の核実験ほど安全なものは他になし。隅田川の納涼花火の方が打ち上げで火傷など怪我多し。そも/\絶対に日本や韓国といつた友好国に核爆弾をば放ずるはづもなし。かつての米ソ冷戦のやうなもの。新型インフルエンザといへばNHKはNW9で関西の「影響を受けた経済をだう立て直すか」と。必要以上に不安感煽つた加害者の分際で何を言ふ。燐寸ポンプポンプ。おバカなキャスターが「この一ヶ月の教訓を今後に活かしていくのが大切です」と宣ふが一ヶ月の教訓を今後に活かすべきは自分たちが「バカな煽動報道せぬこと」だらうに。
蘋果日報に「年年教六四 民主星火不滅 執教17載 張銳輝孜孜不倦國情教育」という記事あり。二十年前に香港大学学生寮・太古堂の寮生会の会長が数名の同級生と寮の前の路上に「冷血屠城烈士英魂不朽誓殲豺狼民主星火不滅」と揮筆疾書。この寮生会会長は大学卒業後、中学教師となり半ば公立の保良局李城壁中学で教鞭執ること十七年。香港大学では一九八九年以来、学生有志がこの路上への揮毫続け今日に至る。この教師は在籍校でも学生に六四につき語ること続け学校長も保護者も是々非々なる観の由。日本でなら殊に東京都教育庁下の教員なら職権乱用の偏向教師のレッテル貼られ教育委員会の指導入り所属校校長も訓告処分、だらうが「自由の都市」香港では処分もなし。蘋果日報の取材に何人かの教え子が実名に写真入りで六四について、それを学ぶことについて語る。だう考えるか、は別にして現代史と政治を学ぶことの重要の実績。思考力も判断力もなくおバカに育つよか真っ当だらう。
▼築地のH君と<近代の矜恃>について語る。H君が、先日アタシが日剰に綴つた八九年六四での運動家国外逃亡への公安武警の幇助につきH君曰く中国には「政府の統治する次元と別な次元の「公」という感覚があるんでしょう」と。伝統的思考の中のアナーキズム的な要素。中国が一党独裁であつても少なくとも近代革命(あるいは毛沢東の農民蜂起かも知れぬが)を経ている証左かしら。さう考へると近代革命を経てをらぬ場合、泰国やブータンのやうに名君に縋るか、アラブの首長国のやうに王族が全てを支配するか、近代国家といふ意味ではシンガポールモデル?と考へたがシンガポールの規模だから強権的な政府支配が能ふわけで日本の規模では無理な話、とH君に言へばH君曰く、日本で提唱される「道州制」っていうのは、これがねらひかもしれません、と。地方を切り捨てて東京圏、大阪圏、名古屋圏が濃密な高度管理社会を築き、その他の地方は人材やら近郊野菜やらを供出する、それが日本の生き残り策。民主党松下政経塾系等がいかにも考へそうな発想なり。

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