富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-05-04

五月四日(月)。五四運動九十周年。豚と墨西哥がまるでスケープゴートのやうだつたが実は二月くらゐには新型インフルエンザが西班牙なのか何処なのか、で発生してゐたし米国が本当は何処まで出来たのか、あるゐはすべきだつたのか、も気になるところ。いづれにせよ、おそらく世の中は大恐慌以来のこの金融海嘯に対して「人類はこの新型インフルエンザの未曾有の危機を乗り切つた!」といふことで景気恢復の起爆剤にする魂胆なのだらう。
▼都立日野高校で栗原清志君=のちの忌野清志郎が愛をしみやまなかつた美術の先生。翌五日の朝日新聞社会面にこの小林先生の記事が大きく出てゐるが、こんな先生、いまの都下ではまづ問題教師で教委から「指導が入る」類ゐの先生だらう。アタシの十代のころはこんな個性のある教師はぞろ/\ゐたもの。高校の時に現国のW先生は授業中に教科書の安部公房小林秀雄など語ると授業そつちのけで文学論となり放課後まで喫茶店に場所を移しアタシら對手にとく/\と論議。アタシらからの貰ひ煙草も「講義代だ」と笑つていらつしやつた。週末には成田闘争に出かけ朝、校門の前でビラ配りしてゐた新左翼の社会科のT先生。校内でカミングアウトこそしてゐなかつたが明らかにゲイの愉快な先生。あの頃はみんなテクノカットにアイビーで、自転車に二人乗りしてウォークマンRCサクセションを聴きながら……素晴らしい時代だつた。忌野清志郎といへば宝島社。かつてJJ氏のワンダーランドが宝島になり、さすがに植草甚一のノリからはだいぶメジャー化したが、あの『宝島』を出版してゐた宝島社のその後の変節は知るところ。だが今日の新聞に宝島社から「日本よ、牙を持て!「田母神」防衛論の決定版!」として田母神俊雄『真・国防論』なんて広告を見るとJJ氏もキヨシローも草葉の陰でたゞ苦笑ゐることだらう。

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