富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-03-10

三月十日(火)四月中旬のポリーニさんの香港でのピアノ独奏会、本日入場券発売開始。ネットで買へば良いのに朝ちやんとTom Lee楽器店に並ぶZ嬢も奇特だが並ぶ列のから「ポリーニつて有名なピアニストが来るんだけど行かない?」とポリーニが誰で演目が何かも知らず、たゞ「有名なピアニストだから見ておいて損はない」で友だちを誘ふ、聞こえる声が日本語だつたさうな。ポリーニといへばアタシが郷里の駅前で成田に行くバスに乗らうとした今月朔日の昼、母が擦れ違つた老夫婦に挨拶。アタシに「ほら、Hさんのお母さん」と言はれ、あ、ポリーニ好きの、とその同級生の女の子を思ひ出す。学年一ピアノの上手な子だつたが、アタシら悪友らでしよつちゆう茶化してゐた子で、もう何十年経つてもその御母堂は私が娘をどれだけ茶化してゐたか、など知らないのだらう、と思ふとかなり後ろめたいものあり。その子にとつて当時、まだ若かつたポリーニは憧れのピアニストだつたわけで、その同級生に聞いて初めてポリーニを知つた。それから早幾年、そのHさんのご母堂に会つた夕方、成田空港のラウンジで読んだ新聞にポリーニ香港公演の広告があつたので、かなり驚かされた。アタシが生でポリーニを聴くのは初めて。香港もアタシの知るかぎりこの18年では初公演。早晩にFCCのラウンジで新聞読み。Z嬢来て軽く夕食。IFCの映画館で『グーグーだつて猫である』の映画見る。猫が可愛いといふより小泉今日子だらう。だが何より、吉祥寺の「いせや」が舞台となり「おーつ」とZ嬢と「焼き鳥が食べたい」と思ふ。1990年にアタシが香港に移り住む前に知人らとの送別会開催したのも「いせや」の二階の座敷。築地のH君や久が原のT君も此処に集はれる。アタシはかなり少女漫画を読んでゐたが大島弓子はまつたく手つかず。どうもあの作風が苦手。小学校低学年で「ぼくら」から「少年マガジンの「タイガーマスク」に並行しつつ「りぼん」で『風の中のクレオ』にうつとりとして中学生の時は清原なつの、の「花岡ちやん」シリーズの大学生生活に憧れ、白泉社の「LaLa」は創刊直後からかなり読み続け山岸涼子の『日出処の天子』や吉田秋生の『バナナフィッシュ』あたりで少女マンガ歴が終はつてゐる。そのなかで大島弓子はどうも最初からダメ。であるからこの映画『グーグー』でも大島弓子のマンガを読んだ者ならわかる登場人物の設定などかなりあることをZ嬢に映画のあとに教へられる。やつぱり猫が家にまたゐたらなぁ、と鳥渡寂しさを感ず。

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