富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-02-20

二月二十日(金)早晩に按摩済ませ尖沙咀に渡る。香港文化中心。昨晩に引き続き京劇名家匯演を観劇。また地元の名人多し。「新世界」グループ率ゐる商人・鄭裕彤など。京胡の派手な演奏に続き「竹林計」で幕開け。余洪役の劉魁魁は外祖父が黄雲鵬といふ梨園の出でさすが舞台映えして余洪役にニンあり。興味深きは「文昭關」。伍子胥を王佩瑜(余派の女老生=男役)、楊派の李陽鳴、凌科の三人が続けて演じて歌を競ふ。凌科が長ける。旦角聯唱は張慧芳(梅派)謝瑤環、常秋月(荀派)の紅娘、馬小曼(梅派)の捧印。梅派の看板旦角、馬小曼が穆桂英役で歌ふ捧印が格別。杜鎮杰(楊派)の楊延輝、王蓉蓉(張派)の鐵鏡公主が演じる楊家女将の「坐宮」、でやうやく中入り。後半は先代の辰之助彷彿させる李宏圖(葉派)が安敬思での飛虎山。探陰山は包拯を演じる孟廣祿(葉派)を筋書きでは「嗓音洪亮高亢、唱腔委婉細膩」と紹介するが、まさにそれ。嗓音洪亮高亢はまさに鶴が鳴くやうな高音だが、唱腔委婉細膩のこの唱腔は歌謡の「こぶし」ともちと違ふ「歌いまはし」で何とも表現難しいが最近アタシも少し、これがわかつてきたやうな気が。それでも「委婉細膩」は大和言葉では難しい。で続いて「待ッてました」の遲小秋(程派)が鎖麟嚢の薛湘靈。京劇界の80年代の天才若手女優も北京京劇院青年団団長、ですつかり円熟味。それにしても上手い歌唱に拝みたいほど。で続いて昨日に続き譚派御曹司の譚正岩が三家店の秦琼を歌つてみせる。光源氏役でもやらせたい端正さだがやはり舞台に立つには心身ともに線が細すぎる。貴妃醉酒を梅派の李勝素が歌つて最後は折子戲「華容道」で于魁智(楊派)が關羽、楊赤(袁派)が曹操源平合戦で松島屋が勢ひづく源氏の総大将、奢る平氏の宗主を冨十郎が演じてゐるやうなもの、で客席もやんやの歓声。舞台跳ねペニのバーで胡瓜のマティーニ一杯だけ飲んでご帰宅。
▼自称政治家「文革曾」行政長官は今週、日本から韓国ご外遊。あまり話題にもならず。だが訪日のお土産は、前回の香港特区旅券でのビザなし渡航解禁に続き、今度は日本が香港にとつて豪州、新西蘭に続く三カ国目の工作假期計畫(ワーキングホリデー)対象国となる由。

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