富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-02-13

二月十三日(金)多雲惨憺。多湿。晩に香港演芸学院で進念二十面體主宰する榮念曽(Danny Yung)による「録鬼簿」Book of Ghostsなる舞踏を見る。中国の京劇役者やバンコクジャカルタから招いた舞踏家4、5人のコラボで鬼(霊)を主題に踊つて見せる。京劇の立役では第一人者の李寶春の現代舞踏風の踊りが見られたのは嬉しいところ。舞台装置など面白い使ひ方などあるが全体的に舞踏としては散漫で意図するところがアタシには今ひとつ解せぬ。最後のジャカルタからの踊り手の舞台が跳ねる頃に出演者全員が舞台にあがり椅子を用意して、舞踏の延長でDanny Yungも出てきて座談会となるのは最悪。踊り手と語る、は観客の好き嫌ひあり(無論、アタシは出演者や監督の語りは大嫌ひ)せめて舞台を一旦終へて好き者同士でするべき。帰るにも帰れずで困つたもの。それでもアタシも含めかなりの客が途中退場。アタシと同じ列、数席隣りにStanley Wong氏。ちやんと座談を聞かれてたので目礼のみ。北京餃子皇に韮菜猪肉水餃を食して帰宅。
▼晩遅く中谷巌氏の「竹中平蔵君、僕は間違えた」(文藝春秋三月号)読む。一昨日の読売新聞への同氏の発表と同じ内容。せつかく表題は「竹中平蔵君」と呼びかけるが内容に竹中君への具体的な言葉なし。編集部のネーミングなだけ鴨。いづれにせよ竹中君の名を冠にするなら「竹中平蔵君、君も間違えている」にでもすりや良かつたのに。雇用システムの改革の結果、雇用が不安定化し格差社会だの低所得層増や派遣の問題が生じ郵政民営化では贅沢な資産の運用こそ意義があるが山間の小さな郵便局の閉鎖など問題があり、と指摘するのは改革以前から「そんなこと小学生でもわかつてゐた」レベルだが中谷氏曰く、ぬくもり、思ひやりだの社会へのまなざし、と。結局、自民党政府の「心のノート」でお勉強が必要なのは政府中枢で改革の旗振つたやうなセンセイ方だらう。
▼“Downturn in Dubai sends foreigner elsewhere”とIHT紙1面の記事。「ドバイ空港周辺にはドバイで職を失ひ海外に回避した外国人たちの乗り捨てた自家用車が三千台」と誇張もあらうが。その自動車には使ひ込んで「ごめんね」と書かれたクレジットカードも散見される、と、もう都市伝説めいた話。石油が枯渇したらどうなるのかしら?と思つたがポスト石油の時代に生き残るための金融ハブ化なのだといふ公式見解。それが石油枯渇前に砂漠の砂に埋もれた巨大な廃虚となつたらSF未来小説の格好の話題か。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/