富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

二月十二日(木)新界で一席講座を聴いた足で早晩に尖沙咀東。新富山撮影器材公司(New Francisco Photo Co.)にライカのカメラ、レンズ眺める。けして愛想が良いとはいへぬ店主氏が珍しく「ライカは何をもつてはる?」とアタシに尋ねる。アタシもつひに一応、客人として扱はれたか、と一瞬喜びM3とM6とIIIcと答へると「M8は?」と結局やはりM8.2が出て在庫抱へたM8売りたい、といふこと。MマウントにはEpson R-D1s持つてゐるから、それで充分。……とすつかり「大人の会話」。「でもお買ひ得だよ」とご主人。HK$28千だと言ふ。最高値がHK$40千であつたこと思へば確かに価格下落はM8.2の登場によるもので、こちらはちなみにHK$38千の由。価格.comの最安値でM8は588千円、M8.2は738千円だから香港でM8シリーズは俄然「お買ひ得」は事実。日本からライカユーザーのお客様ならビジネスクラスに乗つて香港にM8.2買ひに来ても日本よか18万円くらい安いとは。それでも「欲しいか」と言はれるとちよつと二の足を踏む。久々に五味鳥。バンコクから来港中のY氏と飲む。飛行機から鉄道の話、さらにチョイの間の話題から地唄舞まで話題尽きず。踊りで「おゐど」をちよと出すにもただおゐど出すのとは違ふ、頭をかう向きを変へてみせることでおゐどが自然とかう出る、さういふ吉村雄輝的な世界。焼き鳥数串と生野菜。焼酎4合瓶をさつと飲み干し、これで九時過ぎで帰宅すれば可愛いのだがつい銅鑼湾で途中下車。久々にバーSで獨酌。半夜三更に至る。
▼一昨日、七日の蘋果日報に突然、香港マラソン絡みで台湾から居港中の愛新覚羅溥聰氏の記事ありしこと綴りしがアタシの新聞読みの触感も我ながら強ち狂つてをらず。本日の蘋果日報の「隔牆有耳」(壁に耳あり)欄に「肥佬黎搵到金溥聰開台好輕鬆」といふ自社ネタゆゑスッパ抜きではないが、特ダネあり。蘋果日報社主の黎智英氏が台湾で台湾年代テレビ局だか買収でそのCEOに愛新覚羅溥聰を招聘の由。肥黎社長は「不藍不緑」で国民党、民進党からは不偏不党の大台湾・泛台湾のメディア創設と謳ふ。七日の香港マラソン絡みの記事はこの予告つてところだつたか。
▼先日のシカゴ交響楽団の香港公演。十日の信報の廬鞭客氏の評論によれば一晩目の開幕演奏会、自称政治家・文革曽行政長官夫妻はモーツァルト41番ジュピターのみ聴いて中入りで退散の由。廬氏曰くこの行政長官にこそ後半の「英雄の生涯」聴いてもらひたきところ。第一楽章の第1主題「英雄」に続く「英雄の敵」の登場で何かと敵に囲まれる英雄はさぞや共鳴するだらう(笑)、と。この文革曽の途中退場、昨年だかの香港フィルの新季開幕式典にのみ顔を出し開幕公演聴かず退散の前科より更に深刻、と廬氏。ちなみに文革曽退場で中入り後に舎弟・曽俊華(実弟に非ず)夫妻が交替で着座の由。
▼SCMP紙の経済面Lai Seeが“Richard Li's Journal prefers to let rival do the talking”と野次る。PCCWの非上場化図る「李嘉誠の次男」リチャード王子は数年前に買収の信報の社主でもあり。で信報が先週、このPCCW株主総会の紛糾こそ翌日、記事で報道したものの信報の名だたるコラムニスト陣の誰もこの話題に触れず。香港経済日報紙は信報が主筆の練乙錚がその日の連載論評で香港の英語教育云々など綴つたことを揶揄の由。これに対して練乙錚が昨日「回應詰難 申報利益」として反論。このPCCW私有化に触れぬのは「市場諸事,如果沒有政策涵義,或者和政府施政無關,我沒有興趣」とし、中信泰富の破綻は社会問題として取り上げたが
盈科(PCCW)私有化,收購價高低是市場問題,小股東大老闆之間求利之爭,感情上我較多站在小股東一邊,但理性上沒意見。種票是骯髒行為,已有表面證供,若查實並非空穴來風,而且是李澤楷或其他盈科高層授意,則所為足與馬多夫比臭。那將不僅僅是寫評論的好題目,還可讓我早點「復得返自由」。
だとして一蹴。そのうへ
有一個專欄讓我發聲當然好,但老實說,每周六天、每天十二小時以上的工作,一年下來,我已十分疲憊,近日頻頻思念的,是那看海的日子。
と泣き言とは驚き。練乙錚こそ信報の創業者で社主であつた香江第一健筆と賞される林行止氏の引退で、信報で林行止を襲ふ立場として主筆として迎へ入れられた人。それが一年余でこれぢや信報もやはりポスト林行止ではゐよ/\終焉かしら。

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