富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-01-02

一月二日(金)晴。厳寒。新界の何処だかでは気温摂氏3度まで下がつた由。元旦はどうにか一日休んではみたが今日からご執務。尤も香港は普通の金曜日に過ぎないが。なにかと話題事欠かぬ李Baby國寶氏の東亜銀行が創業90周年。香港の地場の銀行では最も長い歴史(香港ではHSBCStandard Chartered Bankの英国系が已に百年以上の歴史あり)。夕方より湾仔の會展新翼にて夕方より誌慶酒會開催。金曜早晩は普段でも渋滞なのだから文革曽行政長官ら香港「政府」「要人」や財界巨人ら鳩まつてはリムジン車で大渋滞必至ゆゑ「この周辺には近づくべからず」と蘋果日報で左丁山氏。その頃にアタシは同じ湾仔でも繁華街で淺井先生の鍼とエレキ治療授かる。FCCで名前知らずのシャルドネを獨酌。ビーフストロガノフ食す。九龍に渡り尖沙咀。文化中心にて京劇観劇。北京京劇院梅蘭芳京劇團の香港公演連続三晩。この劇團の團長は梅蘭芳の子息・梅葆玖氏(今回は来港せず)。今日は正月二日、東京の歌舞伎座では初芝居。NHKが国際放送で中継せぬのが残念。日本といへば歌舞伎でせうに。実は地味に今日から三日連続で新春能狂言はあり。で歌舞伎座での手打ち式の実況もするさうな。大幹部総出演のそれに澤瀉屋猿之助さんが舞台に出たと東都よりの速報で聞き驚く。食傷気味の勧進帳もやはり七代目幸四郎に十五代目(羽左衛門)、六代目(菊五郎)で画像が流れる由。だが何が驚くつて演舞場の正月公演。初春花形歌舞伎とは銘打つが兎に角、海老、海老、角海老ぢやなくて海老様の海老蔵尽くし。昼の部の二人三番叟こそ右近と猿弥だが口上は海老蔵の睨み「いがみの権太」とお祭りの鳶頭は海老蔵。夜の部は「七つ面」が海老蔵。封印切は獅童の忠兵衛と笑三郎の梅川だが白浪五人男も弁天小僧で海老蔵……と。下手したら歌舞伎座より海老蔵獅童で演舞場の方が客の入り旺盛かしら。……と東都の正月芝居が気になるが香港のこの京劇もさすが北京の一流どころがづらり。中国はまだ旧正月前の年暮だから幹部聯も首都を空けられる、といふところか、の香港での顔見世。本晩の演目は良い処どりの精選で「漢津口」「趙氏孤児・打嬰」「飛虎山」「宇宙鋒・修本」と「失印救火」。「打嬰」の李長春中共の中央政治局常務委員と同名か)が見事。「飛虎山」で噂には聞いてゐたが李広圖の小生ぶりが格別。まぁ高音の声の通るのなんの。葉少蘭を師として葉派の後継者筆頭だがこの梅蘭芳京劇團も彼が常務團長で実質的に今後の北京の京劇界の重鎮となること間違ひなし。晋王・李克用役の陳俊杰との歌の掛け合ひのまぁ見事なこと。中入りで「宇宙鋒」に続くがアタシは今日は此処まで。晩九時廿分。こんな遅くなる筈なかつたのに、で慌てて空港に向へば尖沙咀からタクシーで九龍站、でエアポートエクスプレスで十時には空港に着いちまつた。なんて簡便至極。誰だかが香港はエアポートエクスプレスの列車内ですらWi-Fi完備なのに倫敦ではヒースロー空港と倫敦市内を結ぶ列車の中で携帯電話すら数回中断された!と憤慨してゐたが香港はほんと凄い都市なの鴨。空港でK氏お迎へ。米国の某西北航空のフライトの話を聞きゾツとする。厳しい荷物重量制限から機内サービスまで修羅場の如し。香港のこの便はかつてのパンナム001便でH.I.S.の香港格安航空券の定番フライトでかなりお世話院なつたが米国系航空などもう15年くらゐ乗つてをらぬので今更もう想像もつかず。K氏ご自宅までお送りしノートブックの設定までお手伝ひして深更帰宅。小腹空き寒さもあり思はずチャルメラを煮て食す。
▼信報財経月刊が大幅な模様替へでA4からB5に。「金融海嘯下中国救全球?」(羅約徳)の中で「内地只是「世界工廠」、而非「世界消費者」」といふ一言に首肯く。消費が冷え込めば製造高が落ち込み、その製造業で稼ぐ中国がどうやつて消費者側に回り消費を刺激しようか、と。

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