富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-12-25

十二月廿五日(木)快晴。昨晩も異教徒の蛮族がクリスマスイヴ祝ひ香港は蘭桂坊や尖沙咀などかなりの人出の由。本日聖誕祭で祝日。Z嬢とバスで香港仔。久々に山嶐謝記に魚蛋河粉食す。休日の午前十一時台もまだ前半なら席もあり。艀で鴨脷洲に渡る。散歩。また艀で香港仔に渡り路線バスで華富団地乗り換へで薄扶林。古蹟保存への関心から取り壊しがぎり/\寸前で保留となつたJessvilleを外から眺める。香港の前首席大法官楊鐵樑爵士の岳父譚雅士が1931年に建立の邸宅でJessは譚雅士の愛妻の名の由。一見は豪華だが大理石など使はれてゐるやうで混凝土が主。保存かどうか難しいところかしら。まぁ商業的には西洋料理屋か結婚式場だらう。路線バスで湾仔経由で帰宅。夕方、机周りの片づけ。雑誌や新聞恐ろしく溜まる。昨晩の残り物で夕食。米国加州のDelicatoワイナリーのCab Sau 06年飲む。深夜まで新聞読み。
▼信報林行止専欄のR. Highfield著“The Physics of Christmas”からの孫引きになるが聖誕老人(サンタクロース)は世界中の八歳以下の子どもたち21億人に、もはやクリスマスプレゼントは非宗教的な慈善性質であるため基督教徒か異教徒かの区別なく全ての子どもにプレゼントを配るとすると一世帯2.5人の子どもがゐるとして8.42億世帯に届け物。地球の陸地面積から算出すると家屋は260m毎に一軒となるが煙突から、がサンタの基本だが香港のやうにマンションばかりでは、それも大変だが12月24日からの1日で世界中を回るとすると、ただ時差もあるので最大24時間は聖誕老人に活動時間を与へたとして、この24時間で8.42億世帯を回ると1軒あたりの滞在時間は0.0002秒で老人の乗る馴鹿の橇は秒速1279kmであり、これはマッハ6395の超音速。引力など考へると現実的にこのマッハ6.4千は無理ださうな。
▼対米輸出を基調として経済成長続けた中国が今後どうなるか。22日のIHT紙でThomas L. Friedmanが“China to the rescue”で指摘するのはかくの如し。
深圳郊外の大鵬村は世界の名画の複製で有名だが、この複製画の最大の顧客は米国。米国の家屋の居間や寝室、ホテルの客室に飾られる名画の多くがこの大鵬産。米国の不況で一気にこの需要が低落したのは中米経済関係を象徴する。中国は単純に考へれば輸出型経済を内需拡大すれば良い。が輸出向けの高級運動靴が中国国内でどれだけ売れようか。また社会不安や福祉、保険や年金などの未整備(或いは整備されてはゐるがインフレに追ひつかぬ現実)など消費より貯蓄指向が圧倒的に強いことも重要。それでも中国は国内の経済安定が需要であり、米国も輸入に頼らぬ国内生産力の強化が必要なのだ、と。
またGideon Rachmanの“China's economy hits the wall”(FT紙、16日)は
2027年には米国を抜きGDP世界一にならうといはれる中国経済。今年下半期は輸出型製造業のとくに華南での相次ぐ倒産。経済成長8%の維持が社会安定の条件なのは来春、学校を卒業する就労人口が100万人といふ規模であることでも納得するしかないが2009年は中国にとつて困難に直面は明らか。これまでも中国経済の弱点はいくつも指摘されてきた。中国の銀行システムの脆弱さ、環境問題、資源や電気、水の供給不足、社会的格差等々。が中国は強力に経済成長を遂げた。1989年の天安門事件に象徴される政治的問題も一掃し世界的な共産主義の崩壊にも耐へた中国共産党だが2009年にあるであらう資本主義の発作(或いは痙攣、the convulsions of capitalism)こそ中共にとつて歴史上大きな試練にならう。
と指摘する。

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