富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-12-19

十二月十九日(金)バタ/\と忙しいが下腹部左の痛みが日に日に頻繁。昼過ぎに時間を割いて養和病院で診断を請ふ。触診では異常見られずX線も撮ると異常なし。念のため血液検査となるが「保険は入つてゐる?」と医師。診断より医療費確認が大事。鎮痛剤の注射受け数日間服薬で様子見。病院はクリスマス気分で外来の部署は職員でパーティの大騒ぎ。年の瀬の金曜日で市街渋滞。忘年会の招飲あれど体調庇ひ辞して帰宅。うどんを煮て食す。
▼香港政府には英国統治下での政庁時代から「摩訶不思議」な官公庁いくつかあり。その一つが投資推拡署で香港への外国企業の誘致、投資拡大推進が業務。で此処の代表が英国人のMike Rowse(廬維思)なるオッサンで、この廬維思は「ゐるだけで税金の無駄」の典型のやうな御仁だが彼を最も有名にしたのは2003年のSARS疫禍後のHarbourFestなるガイタレ集めたイベントへの投資。こんな催事に数億のカネを注ぎ込みSARSで疲弊した香港の復活を世界にアッピールと馬鹿のほど/\にしてほしい。このHarbourFestへの投資は非難轟々で政府も重い腰を上げ独立の調査委に調べさせたが結果、疑問点は残るが、とお茶を濁す程度の結果報告で幕引き、業務上過失で民事で訴へられた裁判も高裁が無罪と判決。でやうやく定年で(当然、未消化の休暇がたんまりと有給でつくのだが)定年を前に記者会見で、このオッサン、今年も香港に257企業が開業し(そのうち内地が50企業)投資総額は46億ドル、7,800人の市民に就業の機会を提供、と胸を張るが、べつにこのオッサンがこの役所の署長であつてもなくても結果は変らぬこと。しかも香港での28年の公務員生活での功績として「HarbourFest」「ディズニーランド誘致」「Asia Expo(空港に隣接のコンベンションセンター)完成」を列挙。呆れてモノも言へず。こりや香港の三大無駄投資そのもの。こんなオッサン、退職金は全額返納でしかも損害賠償で資産全てを押収すべき。
▼昨日の信報で林行止専欄が「漁火偷渡客 江上數峰青」と題して中国開放政策30周年で、筆者ご自身の50年前の香港密航の出来事について語る(必読)。行止氏曰く、密航の小船で船底に隠れ厚いシート被せられ船酔ひで寄つた輩の吐瀉物の悪臭に耐へ、すわ上陸かと思へば水上警察に拿捕され、水警に脅えたが「皇家」Royalの彼らの同情的な対応に好印象。尖沙咀の収容所に収監され筆者は先に香港に居住の母の慰問を受けたが有力者の介在なしにさう易々と釈放もされず数日後、不法移民の一団は彼らが密航船に乗り込んだマカオ(当時、マカオはすでに中国からは気軽に入れる都市であつた由)に強制送還されることに。それでも最後に叉焼飯が供されるなど香港官憲は密航者に親切。マカオでは客桟に収容されたが出入り自由、看守に5ドル渡されたのは、後にこれが母からの差し入れであつたと知つたが、母の「到家以後必須帰還」の言葉に叛き数日後にまた香港密航を企てた筆者。無事登陸に成功し、そして苦学の末に……は何れもが知る香江第一健筆と賞される筆者の半生なり。ちなみに当時は密入国で拿捕されても記録が法的に残らず、それゆゑに後日、香港で居留権と身分証申請の際も前科は認められず、と。

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