富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-08-04

八月四日(月)ベトナム寝台列車の揺れと軋音にも慣れ昨晩八時過ぎより朝四時くらゐまで熟睡。空の白むのを車窓より眺めれば五時過ぎのまだ薄暗いうちから早起きのベトナム人は市場や食堂に鳩まる風情。ハノイ站に凡そ定刻通り五時四十分過ぎに予定だが何に驚いたかといへば列車がハノイ市街に入るに従ひ単線の線路の両側は手を伸ばせば台所の味の素を拝借できさうなほど家々が線路を挟み、浅草花屋敷のジェットコースターぢやないんだから、これが都電荒川線なら「ここは庚申塚かひ?」で済むがベトナム統一鉄道の首都ハノイ站へのアプローチだと思ふとなんとも可笑しい。ハノイ站からタクシーでソフィテルメトロポールハノイに投宿。1901年にグランドホテルメトロポールとして開業のこのホテル、朝六時過ぎの到着ながら「お部屋の用意は出来ますので」とearly check-inが叶ひ懇切な対応。一つ上の広さにアップグレードあり。重厚なる造りの旧館の客室に通される。夜行列車の旅のあとの熱いシャワーはありがたいかぎり。旅荷を解き出街。初めてのハノイなのでホテル近くでハノイの市街地図購つて近隣のカフェで朝食。外をぼんやりと眺めてゐたZ嬢が「なんでやねん!」と笑ふ。「なんで救急車が生駒市消防局やねん」つて中古の救急車の払ひ下げ輸出かしら。「そりやここ、河内(かはち)やで。救急患者で生駒から運ばれてきて、なにがをかしいねん」と(ハノイは漢字で「河内」なんだが)。少し歩いて9系統の路線バスに乗り市街西部をぐるりと回つて市街見物しつつCau Giayのバスターミナル終点に到着。近くのトゥーレ公園にある動物園。首都の動物園にしては多少寂しいが公園の湖岸を上手く造園して暑くなければ憩ひの場かしら。それにしても暑さ猛々し。今度は東(市街地)行きのバスでBuyt Kim Maなるターミナルまでバスに乗り、下町の横丁の市場を抜けホーチミン博物館へ。月曜日で午後休館と知り午前中のうちに、と思つて訪れれば午前の開館は11時までで到着の10時半にはすでに入場不可。ホーチミン旧居も同様で入れず。大統領府近くの大使館街を歩けば瀟洒な洋館ながら殊更警備が厳重の大使館(大使公邸)あり何処の国か、と思へばイスラエル。あまりの暑さに通りすがりのカフェでハノイビール一飲。バスで旧市街。漫ろ歩き。昼飯を逸したままホテルに戻ると午後、驟雨あり。夕方また市街をうろふろと散策。晩にホテルから南のはうに歩きAu Lac Houseなる外国人相手の洒落たベトナム料理屋で夕食。智利のLoncomilla ValleyはCarta Viejaのシャルドネレゼルヴ05年。ホテルの客室が快適で、しかも部屋は出かけて戻ると夕、夜に合はせ鳥渡した心遣ひがあり、まるで京都の旅館の如し。

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